防災ヘリによる体外設置型補助人工心臓装着患者の航空搬送
「要旨」 47歳女性, 拡張型心筋症. 植込型補助人工心臓(implantable ventricular assist device : iVAD)の適応から防災ヘリで弘前大学から東北大学病院(直線距離260km)まで航空搬送を行う予定であったが, 直前に循環破綻を来し, 静脈脱血・動脈送血体外式膜型人工肺(veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation : V-A ECMO)を導入した. 呼吸不全は認めなかったことと, iVADへのconversionを考慮し, 右鎖骨下動脈送血, 左室心尖部脱血として腹壁トンネルを介したNipro社製の...
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| Published in | 体外循環技術 Vol. 46; no. 1; pp. 8 - 11 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本体外循環技術医学会
01.03.2019
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| ISSN | 0912-2664 |
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| Summary: | 「要旨」 47歳女性, 拡張型心筋症. 植込型補助人工心臓(implantable ventricular assist device : iVAD)の適応から防災ヘリで弘前大学から東北大学病院(直線距離260km)まで航空搬送を行う予定であったが, 直前に循環破綻を来し, 静脈脱血・動脈送血体外式膜型人工肺(veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation : V-A ECMO)を導入した. 呼吸不全は認めなかったことと, iVADへのconversionを考慮し, 右鎖骨下動脈送血, 左室心尖部脱血として腹壁トンネルを介したNipro社製の体外設置型補助人工心臓(paracorporeal ventricular assist device : pVAD)の航空搬送を行った. 防災ヘリには心臓血管外科医と臨床工学技士が同乗し, pVAD, 人工呼吸器, シリンジポンプ, 輸液ポンプなどの管理下で搬送時間125分かけて搬送した. 搬送41日目, 転院先で脳出血を認め死亡退院となった. 緊急搬送の際, 臨床工学技士には短時間での準備と, 搬送中起こり得るトラブルへの対応が求められる. 日頃から生命維持装置に関するシミュレーションや研修会を行い, 緊急搬送に対応可能な体制の構築が不可欠である. また, 山岳地帯の多い日本の航空搬送は, 比較的飛行空域の高い可能性が考えられるため, 気圧などを考慮した医療機器の選定や搬送手段の検討も必要である. |
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| ISSN: | 0912-2664 |