胆石症研究の歴史と展望

胆石症は日常の診療において遭遇することが多く, 古くから高い関心がもたれてきた疾患であるが, 近年さらにその病態の解明が進み, 診断と治療においても画期的な進歩がみられ注目されている. さらに今後一層の飛躍が期待されるが, なお早急に解決すべき多くの課題が残されている. この総会を機会に, 胆石症研究の歴史をたどって将来の研究と診療の糧とし, さらに胆石症研究における, いくつかの問題点を指摘したい. 胆石症についてはすでに紀元前に記載があるが, 人体で胆石が発見されたのは14世紀になってからである. 16世紀には胆汁うっ滞がその原因となることが指摘されており, 1748年には胆石の化学分析が...

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Published in胆道 Vol. 4; no. 3; pp. 255 - 256
Main Author 亀田治男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 01.07.1990
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ISSN0914-0077

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Summary:胆石症は日常の診療において遭遇することが多く, 古くから高い関心がもたれてきた疾患であるが, 近年さらにその病態の解明が進み, 診断と治療においても画期的な進歩がみられ注目されている. さらに今後一層の飛躍が期待されるが, なお早急に解決すべき多くの課題が残されている. この総会を機会に, 胆石症研究の歴史をたどって将来の研究と診療の糧とし, さらに胆石症研究における, いくつかの問題点を指摘したい. 胆石症についてはすでに紀元前に記載があるが, 人体で胆石が発見されたのは14世紀になってからである. 16世紀には胆汁うっ滞がその原因となることが指摘されており, 1748年には胆石の化学分析が行われた. また1863年にはThudichumが, 胆石の化学, 病理, 治療にわたる成書を刊行している(第I期). その後の画期的な業績は, 1882年Langenbuchが胆嚢摘出術を施行したことであり, 1892年にはNaunynの炎症性胆石生成論, 1909年にはAschoff-Bacmeisterの代謝異常によるコレステロール石生成が提唱され, わが国では, 三宅速がビリルビン胆石・胆管内胆石が多いという日本人の胆石の特徴を明らかにした(第II期).
ISSN:0914-0077