右大腿骨骨肉腫に対する腫瘍用人工膝関節置換術後に投擲に種目変更して陸上競技に復帰した1例

〔要旨〕 症例は15歳男性. 右大腿骨骨肉腫に対して, 化学療法および腫瘍用人工膝関節置換術による患肢温存手術を行った. 術後1年で投擲競技を開始し, 理学療法士によるトレーニング指導を行い, コンポーネントの破損なく障害者スポーツの全国大会レベルで活躍した. 現存するインプラントの構造, 耐久性を考えるとスポーツ活動は勧められないが, 適切な動作指導等によりインプラントへの過剰な負荷を避けることが可能と思われた. 骨肉腫は若年者に多い悪性腫瘍であり, 以前は致死率が高く, 膝周囲に発生した場合ほぼ全例下肢の切断術が行われていた. しかし, 化学療法と手術の進歩により5年生存率は70%程度にま...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 23; no. 2; pp. 266 - 270
Main Authors 飯尾浩平, 柳澤道朗, 大鹿周佐, 塚本利昭, 石橋恭之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 30.04.2015
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕 症例は15歳男性. 右大腿骨骨肉腫に対して, 化学療法および腫瘍用人工膝関節置換術による患肢温存手術を行った. 術後1年で投擲競技を開始し, 理学療法士によるトレーニング指導を行い, コンポーネントの破損なく障害者スポーツの全国大会レベルで活躍した. 現存するインプラントの構造, 耐久性を考えるとスポーツ活動は勧められないが, 適切な動作指導等によりインプラントへの過剰な負荷を避けることが可能と思われた. 骨肉腫は若年者に多い悪性腫瘍であり, 以前は致死率が高く, 膝周囲に発生した場合ほぼ全例下肢の切断術が行われていた. しかし, 化学療法と手術の進歩により5年生存率は70%程度にまで改善し, 切断よりも患肢温存がなされる数が多くなってきた. 治療成績の向上とともに, 患者の求めるQOLは高くなってきていると考えられるが, 腫瘍型人工関節による患肢温存術を行った後のスポーツ復帰に関する報告はほとんどない.
ISSN:1346-4159