本邦における若年者胃癌の現状

「はじめに」現在Helicobacter pylori (以下H. pylori) が胃癌の主原因であることは異論がなく, 若年期のH. pylori除菌が一次予防として胃癌の発生を抑制することが期待され, 主に中学生でのH. pylori検査と除菌の取り組みが全国の自治体ベースで導入され拡大してきている. 一方, 国内の公的制度による胃がん検診は, 従来の上部消化管X線造影検査が40歳から, 近年導入された同内視鏡検査は50歳以上隔年へと対象年齢が引き上げられ, 対象年齢となるまでは早期発見のための上部消化管内視鏡やX線造影検査を受ける公的制度がない. しかしながらH. pylori感染胃炎...

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Published in日本ヘリコバクター学会誌 Vol. 26; no. 2; pp. 132 - 139
Main Authors 遠藤広貴, 垣内俊彦, 水口昌伸, 高良吉迪, 樋高秀憲, 鶴岡ななえ, 白石良介, 坂田資尚, 江崎幹宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ヘリコバクター学会 15.01.2025
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ISSN2187-8005
2187-8005

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Summary:「はじめに」現在Helicobacter pylori (以下H. pylori) が胃癌の主原因であることは異論がなく, 若年期のH. pylori除菌が一次予防として胃癌の発生を抑制することが期待され, 主に中学生でのH. pylori検査と除菌の取り組みが全国の自治体ベースで導入され拡大してきている. 一方, 国内の公的制度による胃がん検診は, 従来の上部消化管X線造影検査が40歳から, 近年導入された同内視鏡検査は50歳以上隔年へと対象年齢が引き上げられ, 対象年齢となるまでは早期発見のための上部消化管内視鏡やX線造影検査を受ける公的制度がない. しかしながらH. pylori感染胃炎での胃粘膜の高度萎縮や強い炎症が胃癌発症のハイリスクであることが明らかとなっていることから, ハイリスク患者を若年の段階から把握し定期検査に誘導できれば, 早期治療や胃癌死の抑制に寄与すると思われる.
ISSN:2187-8005
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