食道癌手術における経腸栄養管理~食道癌術後合併症対策における術後超早期経腸栄養の意義

「I. はじめに」 食道癌では, つかえ感や通過障害等の症状を有する患者のほとんどは進行癌で, 癌の進行に伴い栄養状態が確実に悪くなる. こうした栄養障害のリスクの高い進行癌では, 術前化学療法が標準治療となり, 抗癌剤の副作用による嘔気, 嘔吐, 口内炎等によりますます経口摂取が困難となることがある. 放射線治療を併用すると, 食道粘膜障害を起こし, 長期経口摂取不能となる症例も存在する. こうした術前から栄養状態が悪い患者では, 疾患や術式を問わず, 様々な術後合併症が増加することが知られている. 消化器手術の中でも特に手術侵襲の高い食道癌の手術では, 術後合併症率が高率で, 周術期に呼吸...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 46; no. 4; pp. 93 - 96
Main Authors 小倉正治, 竹内裕也, 川久保博文, 大森泰, 北川雄光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 15.08.2012
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ISSN0389-5564

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Summary:「I. はじめに」 食道癌では, つかえ感や通過障害等の症状を有する患者のほとんどは進行癌で, 癌の進行に伴い栄養状態が確実に悪くなる. こうした栄養障害のリスクの高い進行癌では, 術前化学療法が標準治療となり, 抗癌剤の副作用による嘔気, 嘔吐, 口内炎等によりますます経口摂取が困難となることがある. 放射線治療を併用すると, 食道粘膜障害を起こし, 長期経口摂取不能となる症例も存在する. こうした術前から栄養状態が悪い患者では, 疾患や術式を問わず, 様々な術後合併症が増加することが知られている. 消化器手術の中でも特に手術侵襲の高い食道癌の手術では, 術後合併症率が高率で, 周術期に呼吸循環動態の緻密な管理とともに, 術前から栄養管理が重要となる. 本稿では, 食道癌における標準術式である右開胸開腹胸部食道全摘, リンパ節郭清での周術期栄養管理について, 術後超早期経腸栄養の意義を中心に概説する.
ISSN:0389-5564