少数の大腸腺腫と大腸癌が併発した患者におけるMYH遺伝子変異の解析

[目的]少数の大腸腺腫と大腸癌が併発する多発性大腸腺腫症は常染色体劣性遺伝形式を示し, 原因遺伝子が8-oxo-Gの除去修復に関わるMYHであることが近年明らかにされた. MYH遺伝子のホモ接合体と複合ヘテロ接合体が主に英国の患者で報告され, 家族性大腸腺腫症(FAP)にも変異が検出されている. 日本人におけるMYH変異を明らかにする目的で解析を行った. [方法]大腸腺腫の数が比較的少ない例, 大腸癌が併発した例, 家族歴が無くFAPかどうか疑わしい例, FAPと診断されてもAPC遺伝子の生殖細胞変異が検出されなかった例の合計35例について, 正常組織からDNAを抽出し, MYH遺伝子のエキソ...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 4; no. 2; p. A23
Main Authors 飯島武, 山口達郎, 森武生, 比島恒和, 田村和朗, 宇都宮譲二, 宮木美知子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 家族性腫瘍研究会 15.05.2004
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ISSN1346-1052

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Summary:[目的]少数の大腸腺腫と大腸癌が併発する多発性大腸腺腫症は常染色体劣性遺伝形式を示し, 原因遺伝子が8-oxo-Gの除去修復に関わるMYHであることが近年明らかにされた. MYH遺伝子のホモ接合体と複合ヘテロ接合体が主に英国の患者で報告され, 家族性大腸腺腫症(FAP)にも変異が検出されている. 日本人におけるMYH変異を明らかにする目的で解析を行った. [方法]大腸腺腫の数が比較的少ない例, 大腸癌が併発した例, 家族歴が無くFAPかどうか疑わしい例, FAPと診断されてもAPC遺伝子の生殖細胞変異が検出されなかった例の合計35例について, 正常組織からDNAを抽出し, MYH遺伝子のエキソン1~16のPCR-SSCPを行い, 異常パンドを切り取りシークエンスを解析した. [結果, 考察]35例中2例にエキソン11の5'-スプライス部位におけるag/GTからgg/GTへのMYH遺伝子の生殖細胞変異が検出され, mRNAでのエキソン11の欠失が推測された. 1例(52才男性)は21個の大腸腺腫と3個の大腸高分化腺癌を, 他の1例(20才男性)は約50個の大腸腺腫と1個の上行結腸癌を有し, 2例とも腺腫や癌の家族歴は無く, 多発性大腸腺腫症の範疇に入ると考えられ, APC遺伝子の生殖細胞変異も検出されていない. しかし, MYH遺伝子の変異はいずれの場合も片側アレルのみであるため, 他方のアレルにも変異が存在する複合へテロ接合体の可能性が考えられ, さらに解析を進めている.
ISSN:1346-1052