生体部分肝移植後に“de novo”autoimmune hepatitisを発症したウイルソン病の1例

【症例】9歳男児. 2001年2月28日にウイルソン病(WD)による慢性肝不全のため母親をドナーとして京都大学病院にて生体部分肝移植を施行. 術後532日目, トランスアミナーゼの上昇があり, 急性拒絶と考え, ステロイドパルス療法とタクロリムスの増量を行うも肝機能が正常化しないため精査となった. 【検査所見】T-bil1.1mg/dL, D-bil0.4mg/dL, AST624IU/L, ALT1023IU/L, LDH387IU/L, ALP1121IU/L, LAP489IU/L, γ-GTP138IU/L, 肝機能異常を起こすウイルス検査はすべて陰性, 抗核抗体40倍と陽転し, 抗平...

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Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 15; no. 3; pp. 296 - 297
Main Authors 十河剛, 乾あやの, 小松陽樹, 野崎昌俊, 大嶋宏一, 藤澤知雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 01.10.2004
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ISSN0916-717X

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Summary:【症例】9歳男児. 2001年2月28日にウイルソン病(WD)による慢性肝不全のため母親をドナーとして京都大学病院にて生体部分肝移植を施行. 術後532日目, トランスアミナーゼの上昇があり, 急性拒絶と考え, ステロイドパルス療法とタクロリムスの増量を行うも肝機能が正常化しないため精査となった. 【検査所見】T-bil1.1mg/dL, D-bil0.4mg/dL, AST624IU/L, ALT1023IU/L, LDH387IU/L, ALP1121IU/L, LAP489IU/L, γ-GTP138IU/L, 肝機能異常を起こすウイルス検査はすべて陰性, 抗核抗体40倍と陽転し, 抗平滑筋抗体陰性, 抗LKM-1抗体陰性, IgG1080mg/dL, IgA100mg/dL, IgM189mg/dL. 肝生検では拒絶ではなく, 門脈域に形質細胞リンパ球を中心とした細胞浸潤がみられるinterface hepatitisであった. 【経過】autoimmune hepatitis(AIH)スコアリングシステムでは16点でAIHと診断した. ステロイドパルス療法とアザチオプリンを併用後, 経口プレドニンの投与にて, 肝機能は正常化し, プレドニンを7mgまで減量したところで, AIHが再燃し, 再びパルス療法を行い, 後療法としてプレドニンを30mgから開始し, 肝機能は再び正常化した. 現在, プレドニンを漸減中である.
ISSN:0916-717X