サッカーの試合中に相手選手と衝突し小腸損傷を来した一例

「要旨」サッカーによるスポーツ外傷において小腸損傷は極めて稀だが, 受傷起点によっては起こり得る外傷である. 22歳男性, プロサッカー選手. サテライトリーグの試合中, ルーズボールの競り合いで相手選手と交錯し膝が腹部に入り受傷した. 強い腹痛のため直後より立ち上がることが困難でありピッチ外へ退出し交代, 腹痛が持続していたため近医へ救急搬送. 経過観察入院後, 受傷翌日の腹部造影CT検査にて上腹部に遊離ガス像及び腹水を認めたため試験開腹術施行, 消化管穿孔及び汎発性腹膜炎との診断で小腸穿孔部閉鎖術施行, 術後17日で退院となった. 術後4週で軽運動開始, 術後8週で競技復帰に至った. 小腸...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 26; no. 3; pp. 482 - 485
Main Authors 木下大輔, 大沼寧, 塚崎良豪
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 30.08.2018
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ISSN1346-4159

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Summary:「要旨」サッカーによるスポーツ外傷において小腸損傷は極めて稀だが, 受傷起点によっては起こり得る外傷である. 22歳男性, プロサッカー選手. サテライトリーグの試合中, ルーズボールの競り合いで相手選手と交錯し膝が腹部に入り受傷した. 強い腹痛のため直後より立ち上がることが困難でありピッチ外へ退出し交代, 腹痛が持続していたため近医へ救急搬送. 経過観察入院後, 受傷翌日の腹部造影CT検査にて上腹部に遊離ガス像及び腹水を認めたため試験開腹術施行, 消化管穿孔及び汎発性腹膜炎との診断で小腸穿孔部閉鎖術施行, 術後17日で退院となった. 術後4週で軽運動開始, 術後8週で競技復帰に至った. 小腸損傷は交通事故に伴うシートベルト損傷などの鈍的外傷により生じるのが一般的であるが, コンタクトスポーツでも腹部への鈍的外傷となるプレーが起こり得る. 頻度は少ないが考慮すべきスポーツ外傷の一つであり迅速な現場対応が必要とされる.
ISSN:1346-4159