嚥下を誘因として高齢女性に発症した特発性食道破裂の一例

今回われわれは嚥下後に高齢女性に発症した特発性食道破裂症例を経験した. 症例は65歳女性. 食後飲水中突然胸背部痛が出現した. 近医受診し, 心筋梗塞を疑われ, 他院に紹介入院となった. 胸部CT検査, 冠動脈造影, 大動脈造影検査を施行したが, 診断は得られなかった. 翌日の胸部X線写真で右気胸及び胸水が出現し, 胸腔ドレナージが行われた. 胸水の性状から食道破裂が疑われ, ガストログラフィン造影で食道破裂と診断が確定した. 当院に救急搬送され, 発症から26時間後に手術を開始した. 胸部下部食道右壁に縦走する2.5cmの穿孔部を認めた. 食道穿孔部縫合閉鎖と胸腔ドレナージ, 開腹による胃瘻...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 26; no. 2; pp. 121 - 126
Main Authors 真嶋敏光, 木元正利, 藤倉博之, 平林葉子, 岡保夫, 林次郎, 浦上淳, 山下和城, 岩本末治, 角田司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 01.08.2000
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ISSN0386-5924

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Summary:今回われわれは嚥下後に高齢女性に発症した特発性食道破裂症例を経験した. 症例は65歳女性. 食後飲水中突然胸背部痛が出現した. 近医受診し, 心筋梗塞を疑われ, 他院に紹介入院となった. 胸部CT検査, 冠動脈造影, 大動脈造影検査を施行したが, 診断は得られなかった. 翌日の胸部X線写真で右気胸及び胸水が出現し, 胸腔ドレナージが行われた. 胸水の性状から食道破裂が疑われ, ガストログラフィン造影で食道破裂と診断が確定した. 当院に救急搬送され, 発症から26時間後に手術を開始した. 胸部下部食道右壁に縦走する2.5cmの穿孔部を認めた. 食道穿孔部縫合閉鎖と胸腔ドレナージ, 開腹による胃瘻造設術を施行した. 術後経過は順調で術後40日目に退院となった. 嚥下を誘因とし, 右側に穿孔した高齢女性の特発性食道破裂は稀な症例と考え, 報告した.
ISSN:0386-5924