可溶性IL-2R(sIL-2R)測定の臨床的意義

血中sIL-2Rは生体の免疫防御機構の活性化, T細胞系の活性化に伴い上昇することが報告されている. このため成人T細胞白血病(ATL)のようにHTLV-Iの感染細胞が活性化T細胞である疾患では血中sIL-2Rを測定することにより疾患活動性をモニタリングすることができる. 昨年, ATLおよび悪性リンパ腫に関して保健点数が認められたことをうけて本院においても平成7年2月よりsIL-2Rの測定をはじめた. 今回我々は各疾患におけるsIL-2Rの測定をおこないその結果をまとめたので報告する. 対象と方法:平成7年2月より10月までに測定をおこなった本院患者90例(31名)のうち病型が確認されたAT...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 6; pp. 1013 - 1014
Main Authors 福吉葉子, 吉木景子, 中満三容子, 山口一成, 高月清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.1997
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ISSN0546-1448

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Summary:血中sIL-2Rは生体の免疫防御機構の活性化, T細胞系の活性化に伴い上昇することが報告されている. このため成人T細胞白血病(ATL)のようにHTLV-Iの感染細胞が活性化T細胞である疾患では血中sIL-2Rを測定することにより疾患活動性をモニタリングすることができる. 昨年, ATLおよび悪性リンパ腫に関して保健点数が認められたことをうけて本院においても平成7年2月よりsIL-2Rの測定をはじめた. 今回我々は各疾患におけるsIL-2Rの測定をおこないその結果をまとめたので報告する. 対象と方法:平成7年2月より10月までに測定をおこなった本院患者90例(31名)のうち病型が確認されたATL, 悪性リンパ腫, その他の疾患(HTLV-Iキャリア, HAM, サルコイドーシス, シェーグレン症候群)の計70例(24名)を対象に解析をおこなった. sIL-2RはT-cell Science社(山之内製薬株式会社)のビーズ固相法サンドイッチEIA法により測定した. 結果:ATLは急性型9,500±13,800U/ml(n=37)リンパ腫型7,500±10,500(n=6)慢性型6,100±7,600(n=9)くすぶり型844(n=1), 悪性リンパ腫940±900(n=12)その他の疾患750±250(n=5)であった. 考察:ATLでは従来の報告と同様にくすぶり型, 慢性型, リンパ腫型, 急性型と病態が悪化するにしたがってsIL-2Rも有意に高値を示した. また悪性リンパ腫およびその他の疾患は本キット参考正常値範囲である120~384U/mlに比べ若干の高値であった. また, 経時的測定をおこなったATL患者3名の臨床経過とsIL-2R値を比較したところ有意に相関しており, sIL-2RはATLに関して臨床的指標としての意義があるといえる.
ISSN:0546-1448