Wilson病が強く疑われ, 最終的に肝銅含量測定にて本症を否定された1例

【はじめに】Wilson病は様々な臨床病型が存在し, その発症様式および臨床症状は多岐にわたる. また病初期は症状が軽微なため診断に苦慮する例も少なくない. 今回我々は肝機能障害の原因としてWilson病が疑われたが, 肝銅含量測定により本症が否定された症例を経験したので報告する. 【対象および経過】症例は21才男性. 15才頃より摂食障害が認められ, 神経性食思不振症と診断されていた. 18才時健康診断にて肝機能障害を指摘され, 某大学病院にて精査(詳細不明)が行われ, Wilson病を疑われるも確定診断には至らなかった. 同年10月に他の大学病院にて血清セルロプラスミン値が15mg/dLと...

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Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 15; no. 3; p. 296
Main Authors 小林陽子, 中園宏紀, 山口之利, 清水教一, 青木継稔, 加藤尚之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 01.10.2004
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ISSN0916-717X

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Summary:【はじめに】Wilson病は様々な臨床病型が存在し, その発症様式および臨床症状は多岐にわたる. また病初期は症状が軽微なため診断に苦慮する例も少なくない. 今回我々は肝機能障害の原因としてWilson病が疑われたが, 肝銅含量測定により本症が否定された症例を経験したので報告する. 【対象および経過】症例は21才男性. 15才頃より摂食障害が認められ, 神経性食思不振症と診断されていた. 18才時健康診断にて肝機能障害を指摘され, 某大学病院にて精査(詳細不明)が行われ, Wilson病を疑われるも確定診断には至らなかった. 同年10月に他の大学病院にて血清セルロプラスミン値が15mg/dLと低めであり, Wilson病を強く疑われD-ペニシラミンにて治療が開始された. しかしその後も肝機能異常や倦怠感が続くため, 21才時に当院を紹介され精査加療目的で入院となった. 入院時AST44IU, ALT50IUと軽度肝機能異常を認めた. しかし銅キレート薬休薬後に尿中銅排泄量の増加は認めず診断確定の為肝生検を施行し肝銅含量, 胆汁中銅含量の測定を行った.
ISSN:0916-717X