オフポンプでの外科的閉鎖術により心機能の改善を得た冠動脈左室瘻の1例
《Abstract》症例は53歳男性. 呼吸困難感と両下腿浮腫の悪化を主訴に受診し, BNP高値, 経胸壁心臓超音波検査で心機能低下を認め, 初発のうっ血性心不全の診断で入院加療された. 冠動脈造影検査では, 左前下行枝の拡張と, 末梢での左室内腔との交通を認め, 左冠動脈左室瘻と診断された. 外科的治療の適応判断目的に当科へ紹介された. 左室拡張末期径/収縮末期径68/53mmと心拡大, EF 44%とびまん性に収縮能の低下, 短軸像で後交連部位心室中隔付近から左室内腔への拡張期の血流を認めた. 心筋血流シンチグラフィでは虚血所見は認めなかった. 本症例に対しオフポンプで瘻閉鎖術を行った....
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Published in | 心臓 Vol. 56; no. 11; pp. 1085 - 1091 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本心臓財団・日本循環器学会
15.11.2024
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ISSN | 0586-4488 |
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Summary: | 《Abstract》症例は53歳男性. 呼吸困難感と両下腿浮腫の悪化を主訴に受診し, BNP高値, 経胸壁心臓超音波検査で心機能低下を認め, 初発のうっ血性心不全の診断で入院加療された. 冠動脈造影検査では, 左前下行枝の拡張と, 末梢での左室内腔との交通を認め, 左冠動脈左室瘻と診断された. 外科的治療の適応判断目的に当科へ紹介された. 左室拡張末期径/収縮末期径68/53mmと心拡大, EF 44%とびまん性に収縮能の低下, 短軸像で後交連部位心室中隔付近から左室内腔への拡張期の血流を認めた. 心筋血流シンチグラフィでは虚血所見は認めなかった. 本症例に対しオフポンプで瘻閉鎖術を行った. 術後3カ月の経胸壁心臓超音波検査では, 左室拡張末期径/収縮末期径およびEFは61/44mm, 55%に改善した. 遺残シャントや局所壁運動低下などの合併症なく経過している. |
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ISSN: | 0586-4488 |