肺非結核性抗酸菌症の胸部画像の定量的評価法

要旨: 様々な肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)の胸部画像の評価法が報告されている. 2013年に倉島らがMycobacterium avium complex (MAC)による肺MAC症の胸部画像の半定量的評価法としてNICEスコア法を報告した. 同手法では陰影を4つに分け, 6領域で陰影別に強弱を含めて評価する. 以前われわれはNICEスコア法を用い, 肺NTM症患者の治療導入に至る因子を調査した. 若年, 空洞あり, NICEスコアの高値が治療導入のリスク因子となった. 領域ごとの陰影の変化を追跡可能な点, スコアから全体像を想起できる点, スコアをつけるのにcomputed tomogr...

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Published in結核 Vol. 97; no. 2; pp. 85 - 91
Main Authors 内田賢典, 小松茂, 萩原恵里, 小倉高志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.03.2022
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ISSN0022-9776

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Summary:要旨: 様々な肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)の胸部画像の評価法が報告されている. 2013年に倉島らがMycobacterium avium complex (MAC)による肺MAC症の胸部画像の半定量的評価法としてNICEスコア法を報告した. 同手法では陰影を4つに分け, 6領域で陰影別に強弱を含めて評価する. 以前われわれはNICEスコア法を用い, 肺NTM症患者の治療導入に至る因子を調査した. 若年, 空洞あり, NICEスコアの高値が治療導入のリスク因子となった. 領域ごとの陰影の変化を追跡可能な点, スコアから全体像を想起できる点, スコアをつけるのにcomputed tomographyを必要としない点, 煩雑となりすぎない点, 経時的な画像変化を数値化できる点などから, NICEスコア法は定量的評価法として有用である. 同手法を用いた報告が増えており, MAC以外の肺NTM症にも利用されている. 本報告では嚢胞性線維症の画像スコア法を改変した評価法など, 様々な肺NTM症の画像スコア法を比較検討し, 求められる定量的画像評価法について考察した. 肺NTM症のさらなる病態の理解のためにも胸部画像の定量的評価の普及が望まれる.
ISSN:0022-9776