抗酸菌症の治療における外科の役割と展望 - 外科治療は今後も有効たり得るか?

「はじめに」抗酸菌症に対する外科治療は, 昭和20年代から40年代までは肺結核症に対する有効な治療法として数多く行われ, それらが現在の呼吸器外科学の基礎を築いてきたといっても過言ではない. しかし昭和40年代後半にリファンピシン (RFP) が導入され, その後イソニアジド (INH)・RFPを中心とする強力な化学療法で, 結核の治療期間が著しく短縮されその治療成績も95%以上の治癒が得られる時代を迎えて, 結核症に対する外科治療の役割はほぼ終焉したとの印象がもたれるようになった. ところが近年, RFP・INH両剤耐性菌の化学療法による治療成績が不良であることが判明し, 再び肺結核症, 特...

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Published in結核 Vol. 86; no. 12; pp. 911 - 915
Main Author 中島由槻
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.12.2011
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ISSN0022-9776

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Summary:「はじめに」抗酸菌症に対する外科治療は, 昭和20年代から40年代までは肺結核症に対する有効な治療法として数多く行われ, それらが現在の呼吸器外科学の基礎を築いてきたといっても過言ではない. しかし昭和40年代後半にリファンピシン (RFP) が導入され, その後イソニアジド (INH)・RFPを中心とする強力な化学療法で, 結核の治療期間が著しく短縮されその治療成績も95%以上の治癒が得られる時代を迎えて, 結核症に対する外科治療の役割はほぼ終焉したとの印象がもたれるようになった. ところが近年, RFP・INH両剤耐性菌の化学療法による治療成績が不良であることが判明し, 再び肺結核症, 特に耐性例に対する外科治療の役割が見直されており, さらに現在では非結核性抗酸菌症に対する化学療法の有効性の低さから, 非結核性抗酸菌症に対する外科治療も期待されつつある.
ISSN:0022-9776