硬膜外麻酔後に発症した脊髄硬膜外膿瘍の1例

「はじめに」硬膜外麻酔に起因する硬膜外膿瘍の発症は比較的稀とされてきたが, 近年報告例が増加している. 最近, 硬膜外カテーテル留置後に生じた脊髄硬膜外膿瘍に対して観血的治療を行った1例を経験したので報告した. 症例 64歳女性. 既往歴:虚血性心疾患. 現病歴:平成10年3月16日転倒し, 翌日当院受診した. 左第9, 10, 11肋骨骨折, 血気胸を認め入院した. 3月19日除痛目的にL1/2から硬膜外カテーテルを留置した. 3月24日頃より39度台の発熱と強い背部痛が出現したが, 局所感染所見, 神経症状は認めなかった. 検査所見:胸椎, 腰椎X線では異常を認めなかった. 白血球1341...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 49; no. 2; pp. 383 - 386
Main Authors 安部淳, 吉田健治, 山下寿, 星子久, 村上秀孝, 北川敬二, 朴珍守, 今井達也, 後藤琢也, 永田見生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2000
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」硬膜外麻酔に起因する硬膜外膿瘍の発症は比較的稀とされてきたが, 近年報告例が増加している. 最近, 硬膜外カテーテル留置後に生じた脊髄硬膜外膿瘍に対して観血的治療を行った1例を経験したので報告した. 症例 64歳女性. 既往歴:虚血性心疾患. 現病歴:平成10年3月16日転倒し, 翌日当院受診した. 左第9, 10, 11肋骨骨折, 血気胸を認め入院した. 3月19日除痛目的にL1/2から硬膜外カテーテルを留置した. 3月24日頃より39度台の発熱と強い背部痛が出現したが, 局所感染所見, 神経症状は認めなかった. 検査所見:胸椎, 腰椎X線では異常を認めなかった. 白血球13410/mm3, CRP 21.0mg/dlと著明な炎症反応を認めた. 経過:発症時よりCTM, IPM投与を行い炎症反応は若干改善した. しかし背部痛, 38℃台の発熱も持続したため, 3月21日にMRIを施行した. T2強調像で腹側硬膜肥厚かと思われたが確定診断には至らず, Gd-T2強調像ではカテーテル刺入部周囲が造影され, この時点では蜂窩織炎と診断した(図1). 抗生剤投与継続および高圧酸素療法併用にて炎症反応は漸次改善傾向にはあったが, 背部痛の軽快はなく3月28日再度MRIを施行した.
ISSN:0037-1033