脳卒中慢性期に患側下肢の蜂窩織炎をきたした症例に対するリハビリテーションの試み

「症例」62歳, 男性. 平成6年発症の視床出血右片麻痺で当科Followしていた. 7月上旬より下腿の浮腫が増強し, 7月29日下腿の発赤腫脹, 38度台の発熱を認め, 当科緊急受診後皮膚科に依頼し, 蜂窩織炎の診断で緊急入院し抗生剤点滴加療がなされた. 当初は車椅子レベルで下肢の挙上と冷却を, 発熱の消失後起立訓練, ROM訓練を開始し, 8月17日にリハビリテーション科に転科後残存する下腿浮腫に対しリンパマッサージ, 不感温度による渦流浴等を追加した. 入院中大腿で周径変化を認めず, 下腿以下で周径の減少を認めた. 運動処方前の予備実験で下肢運動後浮腫は増強したが, その後のリンパドレナ...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. 12; p. 1003
Main Authors 甘井努, 藤本幹雄, 新舎規由, 越智文雄, 石神重信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2001
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ISSN0034-351X

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Summary:「症例」62歳, 男性. 平成6年発症の視床出血右片麻痺で当科Followしていた. 7月上旬より下腿の浮腫が増強し, 7月29日下腿の発赤腫脹, 38度台の発熱を認め, 当科緊急受診後皮膚科に依頼し, 蜂窩織炎の診断で緊急入院し抗生剤点滴加療がなされた. 当初は車椅子レベルで下肢の挙上と冷却を, 発熱の消失後起立訓練, ROM訓練を開始し, 8月17日にリハビリテーション科に転科後残存する下腿浮腫に対しリンパマッサージ, 不感温度による渦流浴等を追加した. 入院中大腿で周径変化を認めず, 下腿以下で周径の減少を認めた. 運動処方前の予備実験で下肢運動後浮腫は増強したが, その後のリンパドレナージでリンパマッサージ単独と同等まで改善を認めた. また, 弾性ストッキング装着下での運動を行っても浮腫の増悪を認めず, その後のリンパマッサージでもっとも改善した. 「考察」蜂窩織炎の遠因として, 筋ポンプの低下や装具の不適合によるリンパ浮腫や視床出血による感覚低下での小さな傷が考えられた.
ISSN:0034-351X