救急治療における気管支鏡の役割

〔目的〕救急治療において気管支鏡(以下BF)の果たす役割で最も重要なものは気道の管理である. 具体的には, 閉塞・異物・熱傷・出血などの初期治療, 呼吸管理中の気道の観察, 呼吸管理後の気道病変の治療などである. 当センター過去のBF施行例からより有効な使用法について検討した. 〔対象〕1986年6月から1997年12月まで当センターにおいてBFを施行した患者全症例を対象とした. 〔結果〕BF施行の目的は肺炎・気道熱傷等の気管内喀痰吸引が大半を占めていたが, 挿管困難症例へのスタイレットとしての使用, 気道出血・気道異物摘出などの使用がみられた. さらにびまん性の肺異常陰影のある症例に気管支肺...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 20; no. 3; p. 234
Main Authors 金井尚之, 小池荘介, 村岡麻樹, 牧野義文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.04.1998
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137

Cover

More Information
Summary:〔目的〕救急治療において気管支鏡(以下BF)の果たす役割で最も重要なものは気道の管理である. 具体的には, 閉塞・異物・熱傷・出血などの初期治療, 呼吸管理中の気道の観察, 呼吸管理後の気道病変の治療などである. 当センター過去のBF施行例からより有効な使用法について検討した. 〔対象〕1986年6月から1997年12月まで当センターにおいてBFを施行した患者全症例を対象とした. 〔結果〕BF施行の目的は肺炎・気道熱傷等の気管内喀痰吸引が大半を占めていたが, 挿管困難症例へのスタイレットとしての使用, 気道出血・気道異物摘出などの使用がみられた. さらにびまん性の肺異常陰影のある症例に気管支肺胞洗浄(BAL)を行い, 外傷後の脂肪塞栓症候群や悪性腫瘍と診断した例もあった. 〔考察〕救急領域におけるBFの使用は多岐にわたり, 治療の一環としてのBFは一般的なものとなっている. 当センターではさらに診断にも使用している. 通常危険と思われる呼吸不全を伴うびまん性の肺陰影に行うBALも, 充分な管理下におくことによりほぼ安全に施行できている. さらに呼吸管理後の気道の観察すなわち挿管後の声門の変化・気切部・カフ部等を観察することで, よりよい呼吸管理も可能になっていくと思われる.
ISSN:0287-2137