PC保存における水溶性ビタミン剤添加の有用性について
「目的」 我々は, 第47回輸血学会総会にて血小板機能保持にビタミンEが有効であることを報告したが, その溶媒がエタノールであることなどいくつかの問題点があった. 今回, 安全性の確立された注射用複合ビタミン剤添加の血小板機能保持に対する有用性について検討した. 「方法」 試料:当学内ボランティアドナーによるPC25検体 試薬:高カロリー輸液用総合ビタミン剤ビタジェクト(テルモ) A液:脂溶性ビタミン群 B液:水溶性ビタミン群 保存条件:22℃水平振盪 検討項目:血小板コラーゲン凝集能 採血直後PCのビタミン剤未添加群のコラーゲン凝集能を100%とした. 測定手順:PCにビタミン剤を添加保存し...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 288 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.2001
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 「目的」 我々は, 第47回輸血学会総会にて血小板機能保持にビタミンEが有効であることを報告したが, その溶媒がエタノールであることなどいくつかの問題点があった. 今回, 安全性の確立された注射用複合ビタミン剤添加の血小板機能保持に対する有用性について検討した. 「方法」 試料:当学内ボランティアドナーによるPC25検体 試薬:高カロリー輸液用総合ビタミン剤ビタジェクト(テルモ) A液:脂溶性ビタミン群 B液:水溶性ビタミン群 保存条件:22℃水平振盪 検討項目:血小板コラーゲン凝集能 採血直後PCのビタミン剤未添加群のコラーゲン凝集能を100%とした. 測定手順:PCにビタミン剤を添加保存し, 血小板凝集能測定前に, 輸血後PCの状態を再現するため, 1300rpm, 5分間弱遠心し, 同型の新鮮血漿で置換し測定した. 「結果」 1)(1)ビタミン未添加(control), (2)A液5%添加群, (3)B液5%添加群, (4)(A液+B液)5%添加群の保存3日後PCのコラーゲン凝集能は, それぞれ(1)44±19%, (2)58±46%, (3)104±61%, (4)64±19%であった. 2)水溶性ビタミン群の至適濃度の検討では, 5%(v/v)でコラーゲン凝集能が高く保持されていた. 「考察」 PCに水溶性ビタミン剤を3~8%(v/v)の濃度で添加することにより, 未添加群, 脂溶性ビタミン剤添加群よりも有意にコラーゲン凝集能を高く保持することができ, 少なくとも室温保存下で採血後4日間は凝集能を高く保持することが可能であった. 今後, 有効なビタミンの特定とともに血小板機能保持の機序の解明ならびに有効期限延長・ビタミン添加による細菌の増殖性などに関する検討を行っていく予定である. |
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ISSN: | 0546-1448 |