Ns. の視点より摂食・嚥下リハと栄養管理の連携の重要性

「はじめに」NSTの考える最良の栄養法は経口摂取である. 摂食・嚥下障害患者においては, 最良の栄養法が実施できない. そこで経腸栄養法などによる栄養管理を行い, 早期に経口摂取が可能となるようなアプローチが重要である. しかし, 現実には長期間の末梢静脈栄養(PPN)の投与だけでは, 低栄養状態を招き, 本来の機能すら低下させてしまっている事例も多い. そのような状況の中で, どのように栄養管理に取り組んでいくべきかNs. の視点で考えてみる. 「摂食・嚥下障害患者の栄養障害の傾向」当院脳卒中センターでの摂食・嚥下障害患者のうち栄養障害を伴うことが多いのは, 意外にも意識障害がない軽症例であ...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 11; no. 3; p. 218
Main Author 今田智美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 31.12.2007
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ISSN1343-8441

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Summary:「はじめに」NSTの考える最良の栄養法は経口摂取である. 摂食・嚥下障害患者においては, 最良の栄養法が実施できない. そこで経腸栄養法などによる栄養管理を行い, 早期に経口摂取が可能となるようなアプローチが重要である. しかし, 現実には長期間の末梢静脈栄養(PPN)の投与だけでは, 低栄養状態を招き, 本来の機能すら低下させてしまっている事例も多い. そのような状況の中で, どのように栄養管理に取り組んでいくべきかNs. の視点で考えてみる. 「摂食・嚥下障害患者の栄養障害の傾向」当院脳卒中センターでの摂食・嚥下障害患者のうち栄養障害を伴うことが多いのは, 意外にも意識障害がない軽症例である. 意識障害事例や重症嚥下障害事例においては, 早期から経管栄養による栄養管理が行われている. しかし, 意識障害を伴わない軽症例においては, 経口摂取だけであったり, わずかなカロリーのPPNが行われている程度であり, 必要エネルギーが投与されていない場合が多い. そのため, 代替栄養が必要であるが, 体重測定し, 必要エネルギー量を計算した上で, 不足栄養量に配慮し, 追加投与されているケースはまだまだ少ない. また, 脳卒中センター以外の嚥下性肺炎や術後などの嚥下障害患者では, すでに長期的絶食による低栄養状態を伴っていることも多く, まず栄養改善が優先される. 時には栄養療法を施行するだけで摂食・嚥下機能が改善する例もある. 低栄養状態での直接訓練は, 本来の能力を発揮できないばかりでなく, 誤嚥の際の喀出力低下や免疫力低下などを招き, それらが原因となり更に重篤な合併症を伴ってしまう恐れもある. また, 摂食・嚥下障害患者は, リハビリテーションなど活動量も多く, 咳嗽や排痰, 炎症を伴えばストレス係数も高く, 安静状態にあってもエネルギー消費量は意外に多い. しかし, それらの活動やストレスが必要エネルギーに加味されていない現状もある. 「まとめ」このように患者にとって必要なエネルギー量と現実に投与されているエネルギー量を知ることは最低限の栄養管理である. さらに体重の変化や検査データーなどを参考に, 広い視野で患者の栄養状態を整えることで患者が本来持っている能力を最大限に引き出すこととなり, 摂食・嚥下機能改善に大きな役割を果たすものと考える.
ISSN:1343-8441