気管支鏡検査が診断に寄与したカルチノイド症候群の1例
カルチノイド腫瘍は, 消化管, 虫垂, 膵, 気管支などの神経内分泌細胞から発生する悪性腫瘍である. カルチノイド腫瘍は内分泌学的に不活性の症例が多いが, セロトニンなどのホルモンを産生し, 顔面紅潮, 多量の水様下痢便, 喘息様症状など過剰なホルモンによる症状を呈する症例がある. 今回我々は, 視力低下症状で眼科受診され, 両側網膜転移病変で発見, 精査の結果, 気管支カルチノイドからの多臓器転移が推定されたカルチノイド症候群の1例を経験した. 初診時は顔面紅潮を認めるのみであったが, 経過中に喘息様発作, 多量の水様下痢便症状なども認め, 血液・尿検査でホルモンの過剰産生を示唆する所見であ...
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| Published in | 気管支学 Vol. 30; no. 4; pp. 232 - 233 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本呼吸器内視鏡学会
25.07.2008
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| ISSN | 0287-2137 |
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| Summary: | カルチノイド腫瘍は, 消化管, 虫垂, 膵, 気管支などの神経内分泌細胞から発生する悪性腫瘍である. カルチノイド腫瘍は内分泌学的に不活性の症例が多いが, セロトニンなどのホルモンを産生し, 顔面紅潮, 多量の水様下痢便, 喘息様症状など過剰なホルモンによる症状を呈する症例がある. 今回我々は, 視力低下症状で眼科受診され, 両側網膜転移病変で発見, 精査の結果, 気管支カルチノイドからの多臓器転移が推定されたカルチノイド症候群の1例を経験した. 初診時は顔面紅潮を認めるのみであったが, 経過中に喘息様発作, 多量の水様下痢便症状なども認め, 血液・尿検査でホルモンの過剰産生を示唆する所見である5-HIAAの著明な高値を認めた. 気管支鏡検査で左下葉気管支内腔に認めた隆起性病変からの細胞診(TBAC)を基に, 肝転移病変の生検で診断確定した. カルチノイド症候群症状を呈する気管支カルチノイド症例は比較的稀であると考え, 若干の考察を加え報告する. |
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| ISSN: | 0287-2137 |