左大腿部脂肪肉腫を合併し・新しい胚細胞変異の認められた遺伝性非ポリポーシス大腸癌の1症例
症例は40歳男性, 既往歴として31歳時膀胱癌治療, 32歳時直腸癌手術腱も高分化腺癌, mp ly1 v1 n0)を受けている. 家族歴として父親が胃癌(42歳時手術), 父方の祖母が大腸癌, 父方の叔父が肝臓癌に罹患していた. 今回, 左大腿部背側の腫瘤を主訴に当院整形外科受診し, MRIで脂肪肉腫疑いと診断され, 平成15年8月腫瘍摘出術が施行された. 腫瘍は20×10cm大で, 病理組織検査により高分化脂肪肉腫と診断された. 術後再発徴候を認めていない. この症例は, 本邦で良く用いられるHNPCC関連癌に胃癌を加えた修正アムステルダム診断基準に合致する. 大腸癌研究会HNPCCの登録...
Saved in:
| Published in | 家族性腫瘍 Vol. 4; no. 2; p. A26 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
家族性腫瘍研究会
15.05.2004
|
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1346-1052 |
Cover
| Summary: | 症例は40歳男性, 既往歴として31歳時膀胱癌治療, 32歳時直腸癌手術腱も高分化腺癌, mp ly1 v1 n0)を受けている. 家族歴として父親が胃癌(42歳時手術), 父方の祖母が大腸癌, 父方の叔父が肝臓癌に罹患していた. 今回, 左大腿部背側の腫瘤を主訴に当院整形外科受診し, MRIで脂肪肉腫疑いと診断され, 平成15年8月腫瘍摘出術が施行された. 腫瘍は20×10cm大で, 病理組織検査により高分化脂肪肉腫と診断された. 術後再発徴候を認めていない. この症例は, 本邦で良く用いられるHNPCC関連癌に胃癌を加えた修正アムステルダム診断基準に合致する. 大腸癌研究会HNPCCの登録と遺伝子解析プロジェクトに登録され, 遺伝子解析(MSH2, MLH1, MSH6)を行りたところ, MSH2の(exon 13, codon 677にATの2塩基の欠失を認め, その結果Codon 697にstop codonが出現することが判明した. 本変異はICG-HNPCCあるいはHuman Gene Mutation Database等に報告されていないものであるが, protein truncationをともなうことから病的な変異である可能性が疑われた. 以上, 1)軟部悪性腫瘍を合併し, 2)新しい胚細胞変異を認めたrare caseとして報告する. |
|---|---|
| ISSN: | 1346-1052 |