血清の不活性化の有無によるRPR検査の比較検討

【目的】梅毒検査の一つであるRPRカードテストは, 血清の不活性化の必要がなく, 短時間で反応成績が得られるという点で, 緊急検査として広く用いられている. しかしながら緊急時に患者の原血清(非不活性化)についてRPRカードテストでの結果を報告した後, 同血清について不活性化を行い再度検査をすると, 結果が異なることがあった. そこで原血清と不活性化血清についてRPRカードテストを行い, さらに他のSTS3法, TPHAの検査結果との比較検討を行ったので報告する. 【方法】RPR test化血研を用い, その説明書通り血清0.05mlをカード上のホールに広げ, 抗原液1滴を滴下し, 水平回転器...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 35; no. 2; p. 241
Main Authors 岡本好雄, 野崎厚子, 七戸かずみ, 田中宏枝, 長谷川政幸, 桧山由美子, 馬場清, 清水勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1989
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ISSN0546-1448

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Abstract 【目的】梅毒検査の一つであるRPRカードテストは, 血清の不活性化の必要がなく, 短時間で反応成績が得られるという点で, 緊急検査として広く用いられている. しかしながら緊急時に患者の原血清(非不活性化)についてRPRカードテストでの結果を報告した後, 同血清について不活性化を行い再度検査をすると, 結果が異なることがあった. そこで原血清と不活性化血清についてRPRカードテストを行い, さらに他のSTS3法, TPHAの検査結果との比較検討を行ったので報告する. 【方法】RPR test化血研を用い, その説明書通り血清0.05mlをカード上のホールに広げ, 抗原液1滴を滴下し, 水平回転器で100rpm8分間回転後直ちに凝集の有無を肉眼判定した. 【成績】比較検討した検体数3358件中, RPRカードテストで原血清と不活性化血清の不一致は6例(0.18%)であった. そのうち原血清が陰性で, 不活性化血清が陽性であった例は4例(0.12%)であり, この4例のSTS, 及びTPHAはすべて陽性であった. 又, 原血清が陽性で不活性化血清が陰性であった例は2例(0.06%)であり, そのうち1例はガラス板法のみ陽性であった. 不一致の症例は全て男性であり, 年齢は60才以上であった. 【結論】緊急検査時の梅毒検査としてはRPRカードテストのみが行われている場合も少なくない. 本法と他のSTS3法との成績はよく一致しているとは言うものの疑陰性が1%未満認められるとの報告もある. 今回たまたま原血清と不活性化血清にRPRカードテストを行ったところ両者は極めてよく一致しているが, およそ1,000人に1~2人の割合で疑陰性が認められ, しかもその全例がSTS3法, TPHA陽性であったとの成績を得た. 疑陰性は少数といえども問題となることがありうることから注意すべきことと考えられる.
AbstractList 【目的】梅毒検査の一つであるRPRカードテストは, 血清の不活性化の必要がなく, 短時間で反応成績が得られるという点で, 緊急検査として広く用いられている. しかしながら緊急時に患者の原血清(非不活性化)についてRPRカードテストでの結果を報告した後, 同血清について不活性化を行い再度検査をすると, 結果が異なることがあった. そこで原血清と不活性化血清についてRPRカードテストを行い, さらに他のSTS3法, TPHAの検査結果との比較検討を行ったので報告する. 【方法】RPR test化血研を用い, その説明書通り血清0.05mlをカード上のホールに広げ, 抗原液1滴を滴下し, 水平回転器で100rpm8分間回転後直ちに凝集の有無を肉眼判定した. 【成績】比較検討した検体数3358件中, RPRカードテストで原血清と不活性化血清の不一致は6例(0.18%)であった. そのうち原血清が陰性で, 不活性化血清が陽性であった例は4例(0.12%)であり, この4例のSTS, 及びTPHAはすべて陽性であった. 又, 原血清が陽性で不活性化血清が陰性であった例は2例(0.06%)であり, そのうち1例はガラス板法のみ陽性であった. 不一致の症例は全て男性であり, 年齢は60才以上であった. 【結論】緊急検査時の梅毒検査としてはRPRカードテストのみが行われている場合も少なくない. 本法と他のSTS3法との成績はよく一致しているとは言うものの疑陰性が1%未満認められるとの報告もある. 今回たまたま原血清と不活性化血清にRPRカードテストを行ったところ両者は極めてよく一致しているが, およそ1,000人に1~2人の割合で疑陰性が認められ, しかもその全例がSTS3法, TPHA陽性であったとの成績を得た. 疑陰性は少数といえども問題となることがありうることから注意すべきことと考えられる.
Author 長谷川政幸
清水勝
馬場清
岡本好雄
野崎厚子
桧山由美子
田中宏枝
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