成人アテトーゼ型脳性麻痺と頸髄症

「目的」成人アテトーゼ型脳性麻痺例に発生する頸髄症の発生頻度と特徴, 発生に関与する因子を検討した. 「対象と方法」道立福祉村に在住する成人アテトーゼ型脳性麻痺の39名で, 男性21名, 女性18名, 年齢は25~59歳, 平均37歳であった. 全例に直接検診と頸椎単純X線撮影を行い, 椎間板変性度(Lawrence分類), 脊柱管前後径, ADL評価(早川分類), 頸椎不随意運動の多寡を調査した. 「結果」椎間板変性度は20代2.4,30代6.2,40代以上7.3で, 加齢とともに有意に増加し, 最小脊柱管前後径はいずれの年代も14mm以下であった. 椎間板変性の頻度はC5/6が71.8%が...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 11; pp. 774 - 775
Main Authors 横串算敏, 成田寛志, 山下敏彦, 竹林庸雄, 早川満, 佐久間和子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1997
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」成人アテトーゼ型脳性麻痺例に発生する頸髄症の発生頻度と特徴, 発生に関与する因子を検討した. 「対象と方法」道立福祉村に在住する成人アテトーゼ型脳性麻痺の39名で, 男性21名, 女性18名, 年齢は25~59歳, 平均37歳であった. 全例に直接検診と頸椎単純X線撮影を行い, 椎間板変性度(Lawrence分類), 脊柱管前後径, ADL評価(早川分類), 頸椎不随意運動の多寡を調査した. 「結果」椎間板変性度は20代2.4,30代6.2,40代以上7.3で, 加齢とともに有意に増加し, 最小脊柱管前後径はいずれの年代も14mm以下であった. 椎間板変性の頻度はC5/6が71.8%が最も多く, ついでC4/5,6/7が60%以上で, C2/3,3/4椎間も40~50%に見られた. 頸髄症の症状が見られた症例は8例20.5%で椎間板変性が高度な例で頸部不随意運動が見られる例ほど, 頸髄症の発生頻度が高い傾向がみられた. 頸部不随意運動が軽度の例27例中頸髄症例は2例7.4%, 中等度から高度の例12例中頸髄症例は6例50%であった. 頸髄症例は椎間板変性度が統計上有意に高度であった. 「考察および結論」アテトーゼ型脳性麻痺では頸部不随意運動が頸椎の加齢変化を助長し, 早期にしかも高率に神経症状を発生させる. 頸椎症性変化の特徴は, 20歳代から高率に, 下位頸椎だけでなく上中位頸椎椎間板変性も高率に見られ, 脊髄症を合併しやすいという特徴がある.
ISSN:0034-351X