永田論文に対するEditorial Comment
薬剤溶出性ステント(drug eluting stent;DES)の登場で,経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)による治療成績は著しく向上し,冠動脈疾患治療を取り巻く環境は一変した.数年前までは,PCI治療がうまくいっても,常に再狭窄の懸念がつきまとい,遠隔期の再造影結果を確認するまでは正直安心できなかった.それが,今ではDESの登場で一気に再狭窄の不安は解消され,循環器系の学会でも「再狭窄」に関する研究発表は,今や一時の隆盛はなく全く鳴りを潜めてしまった.そして話題は遅発性ステント血栓症(late stent thro...
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| Published in | 心臓 Vol. 39; no. 7; pp. 628 - 629 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本心臓財団
15.07.2007
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0586-4488 |
Cover
| Summary: | 薬剤溶出性ステント(drug eluting stent;DES)の登場で,経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)による治療成績は著しく向上し,冠動脈疾患治療を取り巻く環境は一変した.数年前までは,PCI治療がうまくいっても,常に再狭窄の懸念がつきまとい,遠隔期の再造影結果を確認するまでは正直安心できなかった.それが,今ではDESの登場で一気に再狭窄の不安は解消され,循環器系の学会でも「再狭窄」に関する研究発表は,今や一時の隆盛はなく全く鳴りを潜めてしまった.そして話題は遅発性ステント血栓症(late stent thrombosis;LST)へと大きくシフトした.一般的に,ステント植え込み後24時間以内の血栓性閉塞を急性ステント血栓症,1~30日以内のものを亜急性ステント血栓症と呼ぶのに対して,治療後1~6ヵ月以内の発症をLST,さらに6ヵ月以上たって発症するものを遠隔期(超遅発性)ステント血栓症と定義するが,術後6ヵ月以上のステント血栓症を総じてLSTとして扱っている.閉塞血栓の発生は血小板凝集と活性化血小板周囲で惹起される凝固系の活性化によるフィブリン形成が原因で,血小板凝集のきっかけを防ぐための適切な抗血小板薬投与の継続が必要となる.とくにDESのLSTは,ベアメタルステント(BMS)に比べ,ステント表面が長期間再内皮化されないため,常にステント表面が血液中に露出していることが原因とされる. |
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| ISSN: | 0586-4488 |