自動血球分析装置を用いた末梢血幹細胞採取時期・採取量の検討

[目的]末梢血幹細胞移植に必要な造血幹細胞を採取するためには, 末梢血中に動員された造血幹細胞の出現を高感度にかつ短時間に検出する指標が必要である. 現在はCD34の測定が信頼性が高く汎用されている. しかし, 測定にはフローサイトメトリーが必要であり, 施設間でのデーターのバラツキが大きい, 測定に2~3時間かかる, 高価である, などの欠点がある. 今回, 我々は, 造血幹細胞の採取時期の決定の指標として, 多項目自動血球分析装置SE-9000のIMI channelを利用したHPC(hematopoietic progenitor cell)の測定を行い, その有用性について検討した....

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 190
Main Authors 窪田良次, 野村努, 豊嶋美紀, 中村裕子, 前田肇, 田港朝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1999
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ISSN0546-1448

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Summary:[目的]末梢血幹細胞移植に必要な造血幹細胞を採取するためには, 末梢血中に動員された造血幹細胞の出現を高感度にかつ短時間に検出する指標が必要である. 現在はCD34の測定が信頼性が高く汎用されている. しかし, 測定にはフローサイトメトリーが必要であり, 施設間でのデーターのバラツキが大きい, 測定に2~3時間かかる, 高価である, などの欠点がある. 今回, 我々は, 造血幹細胞の採取時期の決定の指標として, 多項目自動血球分析装置SE-9000のIMI channelを利用したHPC(hematopoietic progenitor cell)の測定を行い, その有用性について検討した. [方法]対象は, 造血器を始めとする各種悪性腫瘍患者である. HPCの測定にはEDTA血を用い, 採血後3時間以内に測定した. CD34の測定は, 全血法にて行った. また, メチルセルロース法にてCFU-GMの測定を行った. [結果]末梢血HPC数とCD31陽性細胞数とはr=0.798と良好な正の相関を示した. また, 末梢血HPC数と採取した検体中のCD34陽性細胞数とはr=0.675とゆるやかな相関性がみられた. さらに, 採取した検体中のHPC数とCD34陽性細胞数あるいはCFU-GM数との相関性は, それぞれr=0.620とr=0.691であり, ゆるやかな相関性がみられたが, CD34陽性細胞数とCFU-GM数との相関性(r=0.901)と比較して不良であった. [考案]末梢血中のHPC数の測定は, 簡便で短時間に測定でき, しかも安価であることから, 造血幹細胞の採取時期の決定の指標として有用性が高い. また, 採取した検体中のHPC数の測定は, 造血幹細胞の採取量を推定する指標としても利用できる可能性が示唆された.
ISSN:0546-1448