部分肺静脈還流異常症に合併した大動脈弁乳頭状線維弾性腫の1例

症例は72歳, 女性. 息切れの精査にて経胸壁心臓超音波検査を施行したところ右心負荷所見を認めたため, 肺高血圧症の疑いで近医より当院循環器科紹介となった. 経胸壁心臓超音波検査ではシャント疾患などを認めなかったが, 心臓カテーテル検査にて肺静脈の還流異常を疑う造影所見を認め, シャント率(Qp/Qs)も2.3と高値であった. また経食道心臓超音波検査上, 大動脈弁無冠尖に付着する直径7mmの有茎性の異常構造物を認めた. 心臓血管外科転科後, 待機的に手術施行となった. 摘出された腫瘍は肉眼的にイソギンチャク様の腫瘍で, 病理検査にて乳頭状線維弾性腫と診断した. 部分肺静脈還流異常症を伴った乳...

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Published in心臓 Vol. 38; no. 3; pp. 269 - 273
Main Authors 山岸優雅, 大沼義人, 寺島慶明, 山本均美, 下重晋也, 野沢幸永, 福真隆行, 橋本章, 吉田英人, 高平真, 吉田豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.03.2006
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ISSN0586-4488

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Summary:症例は72歳, 女性. 息切れの精査にて経胸壁心臓超音波検査を施行したところ右心負荷所見を認めたため, 肺高血圧症の疑いで近医より当院循環器科紹介となった. 経胸壁心臓超音波検査ではシャント疾患などを認めなかったが, 心臓カテーテル検査にて肺静脈の還流異常を疑う造影所見を認め, シャント率(Qp/Qs)も2.3と高値であった. また経食道心臓超音波検査上, 大動脈弁無冠尖に付着する直径7mmの有茎性の異常構造物を認めた. 心臓血管外科転科後, 待機的に手術施行となった. 摘出された腫瘍は肉眼的にイソギンチャク様の腫瘍で, 病理検査にて乳頭状線維弾性腫と診断した. 部分肺静脈還流異常症を伴った乳頭状線維弾性腫の手術例は報告がなく, 稀な1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488