加齢黄斑変性に対するレーザー治療

欧米において中途失明の第1位の原因疾患である加齢黄斑変性は, わが国でも人口の高齢化に伴い, 増加傾向にある. この疾患の治療は脈絡膜新生血管(CNV)の閉塞あるいは退縮にあり. 現時点でいくつかのレーザー治療が行われている. 中心窩から外れたCNVに対してはconventional suprathreshold laser photocoagulationが有効である. しかしながら中心窩下CNVに対してはこのレーザー治療では中心窩の網脈絡膜を凝固することが避けられないためにほとんどの症例で0.1以下の最終視力になるという大きな問題があった. 1998年に演者らが中心窩下CNVに対して中心窩...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 26; no. 3; p. 277
Main Author 白神史雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本レーザー医学会 25.11.2005
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ISSN0288-6200

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Summary:欧米において中途失明の第1位の原因疾患である加齢黄斑変性は, わが国でも人口の高齢化に伴い, 増加傾向にある. この疾患の治療は脈絡膜新生血管(CNV)の閉塞あるいは退縮にあり. 現時点でいくつかのレーザー治療が行われている. 中心窩から外れたCNVに対してはconventional suprathreshold laser photocoagulationが有効である. しかしながら中心窩下CNVに対してはこのレーザー治療では中心窩の網脈絡膜を凝固することが避けられないためにほとんどの症例で0.1以下の最終視力になるという大きな問題があった. 1998年に演者らが中心窩下CNVに対して中心窩外の栄養血管のレーザー凝固が有効であることを証明した. この栄養血管治療(FVT)では従来のレーザー凝固では得られにくかった0.2以上の最終視力の獲得が可能であるが, 栄養血管の検出, 栄養血管の再疎通といった問題がある. 最近, 光感受性物質を使用したlaser photoactivationである光線力学療法(PDT)やminimum intensity subthreshold laser photocoagulationである経瞳孔温熱療法(TTT)が開発され, 多施設無作為抽出対照試験によってその有効性が報告された. 特にPDTは昨年わが国で認可され, 急激に普及し, 非常に注目されている治療である. 本講演では, こういった加齢黄斑変性に対するレーザー治療を紹介するとともに, 今後の展望について述べたい.
ISSN:0288-6200