下顎枝矢状分割術の術後安定性の検討‐骨片復位法と骨接合法との関連

[目的]われわれは1995年9月以降, 骨接合法をねじ止め固定法からminiplate固定法に変更した. またそれに際して, 近位骨片復位法を近位骨片復位装置から, 屈曲K-wireを用いた三点計測法に変更した. 今回は, 新しい方法で骨接合を行った症例とそれ以前の症例との, 下顎骨位, 前歯部咬合関係の術後安定性について, 術後矯正終了時(A群;平均術後1年8ヵ月, B群;平均術後1年0ヵ月)において比較検討した. [資料, 方法]当科にて下顎枝矢状分割法を単独で行った骨格性反対咬合患者のうち, 術後矯正治療の終了した18例. うち9例は近位骨片復位装置を用いねじ止め固定を行い(A群), 9...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 8; no. 2; pp. 108 - 109
Main Authors 杉林奈賀子, 森良之, 須佐美隆史, 小宮徳春, 米原啓之, 天願俊泉, 古森孝英, 高戸毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.08.1998
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ISSN0916-7048

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Summary:[目的]われわれは1995年9月以降, 骨接合法をねじ止め固定法からminiplate固定法に変更した. またそれに際して, 近位骨片復位法を近位骨片復位装置から, 屈曲K-wireを用いた三点計測法に変更した. 今回は, 新しい方法で骨接合を行った症例とそれ以前の症例との, 下顎骨位, 前歯部咬合関係の術後安定性について, 術後矯正終了時(A群;平均術後1年8ヵ月, B群;平均術後1年0ヵ月)において比較検討した. [資料, 方法]当科にて下顎枝矢状分割法を単独で行った骨格性反対咬合患者のうち, 術後矯正治療の終了した18例. うち9例は近位骨片復位装置を用いねじ止め固定を行い(A群), 9例はK-wireによる近位骨片復位法とminiplate固定を行った(B群). 両群とも顎間固定は術後2週間行った. 下顎骨位の変化はPogonionの位置, 前歯部咬合関係の変化はoverjet, overbiteを指標として, 顎間固定中および術後矯正終了時の側面頭部X線規格写真を用い検討した. [結果]1. Overjetは, A群, B群とも平均0.6mm減少, overbiteはA群が平均0.3mm, B群が平均0.5mm減少した. 両群間に有意差はみられなかった. 最大変化はoverjet, overbiteともA群にみられた. 2. 下顎骨位はA群が平均約1.4mm変化し, B群は平均約1.1mm変化した. 両群間に有意差は認められなかったが, A群では前方に変化する傾向がみられたのに対し, B群では後方に下がるものもみられた. [結論]どちらの方法も, 臨床上十分な術後安定性が得られたが, 神経障害の可能性や操作の煩雑さを考えると, K-wireを用いた骨片復元法とminiplateを用いた骨接合法が有利であると思われた. 質問 岡山大, 歯, 2口外 上山吉哉 1. 固定法をスクリュー固定法からミニプレートに変更された理由は. 2. ミニプレートの固定に用いたスクリューの数は. 回答 東大病院, 顎口外, 歯矯正 杉林, 森 神経障害などの合併症を起こしにくいこと, 顎関節への悪影響を及ぼしにくいこと, またセミリジッド固定と考えられるミニプレートで固定は十分であると考えられる為, ネジ→プレートへ変更した.
ISSN:0916-7048