A県の入院形態と病棟形態に関する検討

平成12年の精神保健福祉法の改正によって, 入院に関しては「本人の同意能力を重視する」と同時に法改正事項ではないが「行動制限の基準の中に, 閉鎖処遇を位置づける」こととなった. 今回, 法改正前後における病床開放率と任意入院率について比較検討した. 【対象と方法】対象はA県の全精神科病院(総合病院内精神科病棟含む)である. 精神科病院における病床開放率と任意入院率について平成11年9月(法改正前6ヵ月)と平成14年9月(法改正後2年6ヵ月)とで検討を加えた. また, 病床開放率に関して, 病床開放率が33%以下の病院群, 33~66%の病院群, 66%以上の病院群の3群に分けて検討を加えた....

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Published inこころの健康 Vol. 19; no. 1; p. 98
Main Author 馬目太永
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本精神衛生学会 10.06.2004
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ISSN0912-6945

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Summary:平成12年の精神保健福祉法の改正によって, 入院に関しては「本人の同意能力を重視する」と同時に法改正事項ではないが「行動制限の基準の中に, 閉鎖処遇を位置づける」こととなった. 今回, 法改正前後における病床開放率と任意入院率について比較検討した. 【対象と方法】対象はA県の全精神科病院(総合病院内精神科病棟含む)である. 精神科病院における病床開放率と任意入院率について平成11年9月(法改正前6ヵ月)と平成14年9月(法改正後2年6ヵ月)とで検討を加えた. また, 病床開放率に関して, 病床開放率が33%以下の病院群, 33~66%の病院群, 66%以上の病院群の3群に分けて検討を加えた. 【結果】A県全体の概要:A県全体では病床開放率は38.0%, 任意入院率は73.2%であった. 平成14年9月では病床開放率は39.4%, 任意入院率は66.8%であった. 病床開放率が33%以下の病院群:平成11年9月の病床開放率は16.0%, 任意入院率は72.1%であった. 平成14年9月では病床開放率は16.6%, 任意入院率は66.7%であった. 病床開放率が33~66%の病院群:平成11年9月の病床開放率は46.5%, 任意入院率は72.7%であった. 平成14年9月の病床開放率は48.4%, 任意入院率は65.6%であった. 病床開放率が66%以上の病院群:平成11年9月では病床開放率は76.1%, 任意入院率は77.1%であった. 平成14年9月の病床開放率は77.7%, 任意入院率は69.9%であった. 【まとめ】A県の精神病院の任意入院率, 病床開放率を調査した結果, 病床開放率が33%以下の病院群では両者の乖離が大きかった.
ISSN:0912-6945