MRL-MpJ創傷治癒形質導入はデュシェンヌ型筋ジストロフィーモデルマウスの骨格筋病変を改善する

抄録 MRL-MpJマウスは耳穴が閉鎖するというユニークな表現型から発見された自然発症変異マウスで創傷治癒促進及び組織再生モデルとして盛んに研究されているが, その責任遺伝子は未だ不明である. 本研究ではこの創傷治癒形質MRL-MpJを交配によってジストロフィン欠損デュシェンヌ型筋ジストロフィーモデル(mdx)マウスに導入し, 骨格筋の筋ジストロフィー病変について解析した. 6週齢の導入マウス四肢筋(大腿四頭筋)では, mdxマウスで認められた単一筋線維断面積減少は有意に改善し, また再生(中心核)線維数も有意に増加していた. 14週齢の導入マウス呼吸筋(横隔膜)でも同様に単一筋線維断面積減少...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 35; no. 4; pp. 295 - 305
Main Authors 藤野雅広, 大澤裕, 岡田只士, 久我敦, 林紗織, 力丸満惠, 村上龍文, 砂田芳秀, 長尾光城
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 01.12.2009
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ISSN0386-5924

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Summary:抄録 MRL-MpJマウスは耳穴が閉鎖するというユニークな表現型から発見された自然発症変異マウスで創傷治癒促進及び組織再生モデルとして盛んに研究されているが, その責任遺伝子は未だ不明である. 本研究ではこの創傷治癒形質MRL-MpJを交配によってジストロフィン欠損デュシェンヌ型筋ジストロフィーモデル(mdx)マウスに導入し, 骨格筋の筋ジストロフィー病変について解析した. 6週齢の導入マウス四肢筋(大腿四頭筋)では, mdxマウスで認められた単一筋線維断面積減少は有意に改善し, また再生(中心核)線維数も有意に増加していた. 14週齢の導入マウス呼吸筋(横隔膜)でも同様に単一筋線維断面積減少の改善と中心核線維数の増加を認めた. 更に導入マウス横隔膜では線維化の指標であるヒドロキシプロリン含有量が有意に減少していることが明らかとなった. これらの結果からMRL-MpJ創傷治癒形質の導入は, ジストロフィン欠損筋の線維化を抑制し筋再生を促進するため, 現在有効な治療法がないデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に対する新しい治療法となる可能性が示唆された.
ISSN:0386-5924