ST-T波の周波数解析
T波形態の異常が心室再分極過程の異常を反映することは, 従来指摘されているが, 形態異常を定量評価する手法は確立されていない. われわれは, Wavelet変換を用いて, T波の各時間帯, 周波数におけるエネルギー分布を求め, T波形態の不均一性を各誘導間のエネルギー分布のばらつき(標準偏差)として評価した(Index of Morphological Dissimirarity;IMD). シミュレーション波形を用いた検討では, 正常T波形態に比べて二相性T波やノッチを有するT波は, IMD値が高値を示し, また, QT延長に伴いIMD値は増大を示したことより, IMD値にてT波形態異常は検...
Saved in:
| Published in | 心臓 Vol. 37; no. 6; pp. 530 - 535 |
|---|---|
| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本心臓財団
15.06.2005
|
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0586-4488 |
Cover
| Summary: | T波形態の異常が心室再分極過程の異常を反映することは, 従来指摘されているが, 形態異常を定量評価する手法は確立されていない. われわれは, Wavelet変換を用いて, T波の各時間帯, 周波数におけるエネルギー分布を求め, T波形態の不均一性を各誘導間のエネルギー分布のばらつき(標準偏差)として評価した(Index of Morphological Dissimirarity;IMD). シミュレーション波形を用いた検討では, 正常T波形態に比べて二相性T波やノッチを有するT波は, IMD値が高値を示し, また, QT延長に伴いIMD値は増大を示したことより, IMD値にてT波形態異常は検出可能であることが示された. しかしIMD値は, ノイズの増大により, 正常T波形態でも高値を示し, アーチファクトの影響を検討する必要があることが明らかとなった. さらに, QT延長症候群(17例)と正常群(21例)での, ホルター心電図(X, Y, Z誘導)記録のT波不均一性を3時間毎に検討を行ったところ, IMDc値(IMD/√RR)は全時間帯においてQT延長症候群で有意に高値を示した. また, IMDc値の全時間帯の変動(IMDc-SD)も, QT延長症候群で有意に高値を示したことより, T波形態の変動はIMDc値により検出しうると考えられ, 臨床においても, IMDc値を用いたT波形態の評価の有用性が示唆された. |
|---|---|
| ISSN: | 0586-4488 |