ラット海馬CA1からの虚血性グルタミン酸放出に及ぼす麻酔薬の影響
マイクロダイアリシス法を用いて, 一過性全脳虚血ラットにおける海馬CA1からのグルタミン酸(GLU)放出に及ぼす影響をブトルファノールとセボフルランで比較検討した. (方法)体重200~250gのSD雌性ラット29匹をブトルファノール(B)群, セボフルラン(S)群とし, それぞれ虚血時海馬温を摂氏37度(Normothermia;N), 33度(Mild hypothermia;M)に設定, 計4群(B-N, S-N, B-M, S-M)とした. 各群のラットに気管挿管, 人工呼吸を行い, 各薬剤を用い, 脳波上burst-suppressionを認める濃度で維持した. 頭部を定位固定し,...
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| Published in | 蘇生 Vol. 16; no. 3; p. 183 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本蘇生学会
01.09.1997
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| ISSN | 0288-4348 |
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| Summary: | マイクロダイアリシス法を用いて, 一過性全脳虚血ラットにおける海馬CA1からのグルタミン酸(GLU)放出に及ぼす影響をブトルファノールとセボフルランで比較検討した. (方法)体重200~250gのSD雌性ラット29匹をブトルファノール(B)群, セボフルラン(S)群とし, それぞれ虚血時海馬温を摂氏37度(Normothermia;N), 33度(Mild hypothermia;M)に設定, 計4群(B-N, S-N, B-M, S-M)とした. 各群のラットに気管挿管, 人工呼吸を行い, 各薬剤を用い, 脳波上burst-suppressionを認める濃度で維持した. 頭部を定位固定し, マイクロダイアリシスプローブ(2mm膜長)を左の海馬CA1に, 針型温度計を右の同部位に定位的に挿入した. 人工脳脊髄液を2.5ul/分で潅流し, 90分安定時間とした後, 10分毎に潅流液を回収し, 10分間の全脳虚血時に1本, その前後に各3本, 計7本の検体を採取した. GLU濃度はHPLCを用い, ANOVAとWilcoxonで統計解析を行った. (結果, 考察)グルタミン酸濃度上昇率(%)は, B-N群1206.7±21.9, S-N群902.0±85.6, B-M群637.2±23.5, S-M群290.8±10.7であった. 虚血時海馬温を4℃下げることで, 虚血性グルタミン酸濃度上昇は有意に抑制され, 各温度どちらにおいてもB群の上昇率が有意に高かった. (P<0.05) (結論)脳虚血時の脳保護作用という観点において揮発性麻酔薬は有用である可能性が示唆された. |
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| ISSN: | 0288-4348 |