糖尿病教室を利用した糖尿病の運動療法

「目的」インスリン感受性の増大による糖利用の改善, 脂質代謝改善, 肥満の解消, 動脈硬化性疾患合併症の予防など, 運動は糖尿病治療に重要な役割を持つ. 当院の運動療法について報告する. 「方法」2週間, 22講座の糖尿病教室の中で, 看護婦による講議1講座のあと, 理学療法士による運動能力測定と運動指導の3講座を行う. 全例トレッドミルにより無症候性心筋虚血の除外診断を行い, 年齢, 血糖, 血圧, 糖尿病合併症, 他疾患合併等のリスクを独自の運動評価表を用いて検討し, 個人別にVO_2 max%(30~60)を算定する. 運動強度が脈拍数に相関することに着目し, 自覚的運動強度とVO_2...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 11; pp. 741 - 742
Main Author 宮崎博子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1999
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」インスリン感受性の増大による糖利用の改善, 脂質代謝改善, 肥満の解消, 動脈硬化性疾患合併症の予防など, 運動は糖尿病治療に重要な役割を持つ. 当院の運動療法について報告する. 「方法」2週間, 22講座の糖尿病教室の中で, 看護婦による講議1講座のあと, 理学療法士による運動能力測定と運動指導の3講座を行う. 全例トレッドミルにより無症候性心筋虚血の除外診断を行い, 年齢, 血糖, 血圧, 糖尿病合併症, 他疾患合併等のリスクを独自の運動評価表を用いて検討し, 個人別にVO_2 max%(30~60)を算定する. 運動強度が脈拍数に相関することに着目し, 自覚的運動強度とVO_2 max%(30~60)を指標に, 自転車エルゴメーターを用いて目標心拍数を決定する. それを最小有効心拍数とともにパルスウオッチに入力し, 脈拍が逸脱すれば警報で知らせるように設定して, 脈拍数をモニターしながら運動する. 1日15~60分の歩行運動や15分のエルゴメーターでの運動を毎日行い, 10日後に目標心拍数と運動能力を再評価する. 「結果」平成7年11月~平成10年12月に608人が糖尿病教室を受講し, 212人がリスクをクリアして運動療法を行った. 10日間の評価では著明な運動能力の向上はみられなかった. 患者の反応は良好で, 心疾患誘発や外傷などの事故はなかった. 「まとめ」糖尿病教室を利用した当院の運動療法は, 1)運動療法が糖尿病教室の一環として行われるため, 抵抗が少なく導入が容易であった. 2)処方が簡単で, 運動前のリスク評価が行いやすく, 運動中の有効性や安全性が監視でき, 退院後の運動習慣に繋げやすかった.
ISSN:0034-351X