腺リンパ腫の画像診断
大唾液腺に発現する腫瘍の画像検査には多くの手法が用いられているが, その病態は多様で正確な判断が困難である. 良性唾液腺腫瘍の腺リンパ腫はWarthin腫瘍あるいは乳頭状嚢腺リンパ腫とも呼ばれ, 画像診断に苦慮する疾患の一つである. 近年, 増加傾向にあるとされる本腫瘍は, 唾液腺腫瘍全体の2%~15%を占め, 高齢者の男性に多く認められている. 大多数は耳下腺, 特にその下極から顎角部に付近に発現し, 両側性のものも約7%にみられる. 本腫瘍は, 唾液腺シンチグラフィにて唯一の病巣内に^^99m TcO_4 ^- が取り込まれるなどの特徴を有する唾液腺腫瘍である. 今回は, 本腫瘍の画像検査...
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          | Published in | 歯科放射線 Vol. 40; no. 2; p. 168 | 
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| Main Authors | , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本歯科放射線学会
    
        30.06.2000
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| ISSN | 0389-9705 | 
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| Summary: | 大唾液腺に発現する腫瘍の画像検査には多くの手法が用いられているが, その病態は多様で正確な判断が困難である. 良性唾液腺腫瘍の腺リンパ腫はWarthin腫瘍あるいは乳頭状嚢腺リンパ腫とも呼ばれ, 画像診断に苦慮する疾患の一つである. 近年, 増加傾向にあるとされる本腫瘍は, 唾液腺腫瘍全体の2%~15%を占め, 高齢者の男性に多く認められている. 大多数は耳下腺, 特にその下極から顎角部に付近に発現し, 両側性のものも約7%にみられる. 本腫瘍は, 唾液腺シンチグラフィにて唯一の病巣内に^^99m TcO_4 ^- が取り込まれるなどの特徴を有する唾液腺腫瘍である. 今回は, 本腫瘍の画像検査それぞれの情報の有効性および価値を判定するとともに, 画像診断の進め方について検討した. 対象は, 大阪歯科大学歯科放射線科を1987年から1999年の12年間に受診し, 腺リンパ腫と確定診断された8患者(9症例)で, すべての症例が男性の耳下腺部にみられ, 両側性は1患者であった. 受診時の年齢分布は51歳~75歳で, 平均は62.8歳と高齢傾向を示していた. 本腫瘍に対して実施された画像検査は, 単純X線検査9症例, 唾液腺造影検査7症例, X線CT検査5症例, MRI検査4症例, RI検査4症例であった. 単純X線検査では, すべての症例で下顎枝付近の顎骨に変化はみられなかった. 唾液腺造影検査では, Ball-in-hand appearanceや腺体主管および分枝の圧排変位像で, 分枝の断裂や造影剤の漏洩像はどの症例にもみられなかった. 耳下腺主管より上方に生じた腫瘍は1症例のみで, 他の6症例は, 耳下腺下極を中心とした耳下腺の下方および後方にみられた. 本検査で耳下腺と腫瘍の位置関係は大よそ把握できた. X線CT検査は, 1症例のみ造影撮影がされていて, 残り4症例は単純CT検査であった. 本腫瘍は耳下腺よりも不透過性の亢進した均一および不均一な腫瘤として確認された. MRI検査では, T1強調画像で腫瘍はすべて低信号を示していたのに対し, T2強調画像では高信号と低信号を示したものが各2症例みられた. しかし, すべての画像で病巣の境界は明瞭であった. RI検査としては, すべてに^^99m Tcの唾液腺シンチと^^67 Gaの腫瘍シンチが実施された. 結果, 唾液腺シンチでは患側に著明な集積を示した. また, 唾液分泌刺激後のイメージでは正常耳下腺部のRIは洗い流され, 腫瘍への集積がより顕著となった. 腫瘍シンチにおいては病巣部に軽度の集積像が2症例にみられた. 結果:本腫瘍は男性高齢者の耳下腺下方に多く発現し, 画像形態的には良性のパターンを呈するが, MRI検査では, 腫瘍内部の管腔形成やリンパ球の集簇などにより異なった信号強度を示した. 本腫瘍も嚢胞形成の程度により多様な画像を示すことが伺われた. | 
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| ISSN: | 0389-9705 |