臨床経過を長期間観察し得た, 高度の心筋病変を有するBecker型筋ジストロフィーの1例

52歳, 男性. 41歳時にBecker型筋ジストロフィーとそれによる二次性心筋疾患と診断され, ACE阻害薬, β遮断薬を含む心不全治療が行われた. その後11年間心不全症状や心機能は比較的安定して経過したが, 刺激伝導系障害の進行ならびに致死的心室性不整脈の出現により心不全の増悪を来した. Becker型筋ジストロフィーは骨格筋障害と心筋障害の進行様式がDuchenne型と異なり個々の患者でさまざまであるが, 本症例は家族内に同じ遺伝子異常を有するにもかかわらず骨格筋障害と心筋障害の発現様式が異なる同胞例を認めた. Becker型筋ジストロフィーが遺伝的要因のみで規定されるのではなく, 出...

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Published in心臓 Vol. 37; no. 1; pp. 44 - 50
Main Authors 武田匡史, 川合宏哉, 上領博, 山本正嗣, 井上信孝, 江本憲昭, 吉川糧平, 平田健一, 川嶋成乃亮, 近藤武史, 竹島泰弘, 前田盛, 松尾雅文, 横山光宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.01.2005
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ISSN0586-4488

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Summary:52歳, 男性. 41歳時にBecker型筋ジストロフィーとそれによる二次性心筋疾患と診断され, ACE阻害薬, β遮断薬を含む心不全治療が行われた. その後11年間心不全症状や心機能は比較的安定して経過したが, 刺激伝導系障害の進行ならびに致死的心室性不整脈の出現により心不全の増悪を来した. Becker型筋ジストロフィーは骨格筋障害と心筋障害の進行様式がDuchenne型と異なり個々の患者でさまざまであるが, 本症例は家族内に同じ遺伝子異常を有するにもかかわらず骨格筋障害と心筋障害の発現様式が異なる同胞例を認めた. Becker型筋ジストロフィーが遺伝的要因のみで規定されるのではなく, 出生後の環境因子による修飾を受ける可能性が示唆され, 本症の成因を考えるうえで貴重な症例と考えられたので報告する.
ISSN:0586-4488