パソコン利用による視覚障害検査の試み

「目的」脳血管障害による主な視覚障害は半盲と視覚失認であるが, それをパソコンで診断できないかと思案し, 以下の方法を考案した. 器具:Power Macintosh 8500/150,17インチディスプレイ. アプリケーションソフト:Hyper Card J2.3. 「方法」目の位置をディスプレイから約30cm離して座り, 片目を遮閉する. ディスプレイ上の注視点(O点)を注視させながら, 白い小さな視標を追視させ, 見えなくなったら合図させる(A点). 続いて視標を逆方向に移動し, 視標が見えたら合図させる(B点). この検査をそれぞれ上下, 左右とその中間の8方向で実施する. 次にO-A...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 12; pp. 1069 - 1070
Main Authors 阪本次夫, 阪場貞夫, 大槻剛智, 星野昌伯
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1998
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」脳血管障害による主な視覚障害は半盲と視覚失認であるが, それをパソコンで診断できないかと思案し, 以下の方法を考案した. 器具:Power Macintosh 8500/150,17インチディスプレイ. アプリケーションソフト:Hyper Card J2.3. 「方法」目の位置をディスプレイから約30cm離して座り, 片目を遮閉する. ディスプレイ上の注視点(O点)を注視させながら, 白い小さな視標を追視させ, 見えなくなったら合図させる(A点). 続いて視標を逆方向に移動し, 視標が見えたら合図させる(B点). この検査をそれぞれ上下, 左右とその中間の8方向で実施する. 次にO-A,O-Bから8方向のそれぞれの平均値を求め, その平均値をディスプレイ上に描出する. 「結果」まず標準視野として正常者10人(男女各5人, 平均年齢47.5歳)の平均視野と(平均値-2×標準偏差)の視野を求めた. その視野上に患者の視野を重ねて異常の有無を診断した. 本法の利点:1)簡単に定量的視野検査ができる. 2)おおよその視覚障害を把握できる. 3)身近なパソコンでできる. 逆に欠点:1)患者がパソコンに不慣れ. 2)患者にある程度の理解力が必要. 3)本法は平面的な方法なので, 視覚感度を考慮した方法に代わりうるかは今後の課題. 「結語」パソコンを利用して簡便に視覚障害を検出する方法を考案した. その方法と結果を呈示し, その有用性を報告した.
ISSN:0034-351X