心拍変動解析で心室頻拍発作発生に自律神経異常が関与することが示唆された, 右室流出路起源持続性心室頻拍の1例

症例は14歳, 男子. 主訴は失神発作. 生来健康であったが, 平成5年6月27日100m走直後に失神し, この時脈を触知できず, 救急蘇生を受けて回復した. 同年7月12日精査加療目的にて当科入院となった. 安静時12誘導心電図は正常洞調律, 右軸偏位. 心臓超音波検査, 心臓カテーテル検査では異常を認めなかった. 臨床電気生理学的検査の結果, 右室流出路起源のverapamil感受性特発性心室頻拍症と診断した. 以後verapamilとpropranololの併用により加療中であるが, 約4年間の経過観察中心室頻拍は出現していない. 失神発作後早期のホルター心電図で約4分間の心室頻拍が記録...

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Published in心臓 Vol. 31; no. 1; pp. 49 - 54
Main Authors 秋好久美子, 犀川哲典, 竹下泰, 秋満忠郁, 高倉健, 吉村彰, 米持英俊, 前田利裕, 田村雅道, 坂田利家
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.01.1999
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ISSN0586-4488

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Summary:症例は14歳, 男子. 主訴は失神発作. 生来健康であったが, 平成5年6月27日100m走直後に失神し, この時脈を触知できず, 救急蘇生を受けて回復した. 同年7月12日精査加療目的にて当科入院となった. 安静時12誘導心電図は正常洞調律, 右軸偏位. 心臓超音波検査, 心臓カテーテル検査では異常を認めなかった. 臨床電気生理学的検査の結果, 右室流出路起源のverapamil感受性特発性心室頻拍症と診断した. 以後verapamilとpropranololの併用により加療中であるが, 約4年間の経過観察中心室頻拍は出現していない. 失神発作後早期のホルター心電図で約4分間の心室頻拍が記録された. 心室頻拍の発症前後で心拍変動解析を行ったところ, 心室頻拍直前にLF/HFの上昇とHFの低下を認めた. 基礎心疾患を有さない右室流出路起源の持続性心室頻拍症において, 発作直前および治療前後の心拍変動解析の報告はなく, 本例で心拍変動解析を発作直前および治療前後で行ったところ, 発作直前のみならず非発作時にも自律神経系の異常が存在し, verapamilとpropranololの投与によりこれらの異常が改善した.
ISSN:0586-4488