K殻吸収端フィルターの利用がCCD方式のディジタルX線画像診断システムの画質に及ぼす影響

口内法X線撮影において, K殻吸収端フィルターを利用することは患者の被曝低減に有効である. しかし, 従来の写真法では写真コントラストの低下により検出能が低下するとされている. これに対してディジタルX線画像診断システムでは, 画像のコントラストを調整できることから, 検出能を低下させずに被曝を低減できるものと期待される. この点を明らかにするため, K殻吸収端フィルター使用下での口内法ディジタルX線画像のコントラストと検出能の変化について検討を行った. ディジタルX線画像診断システムにはCCD方式のCDRシステム(Schick Technologies)を使用した. 対象としたK殻吸収端フィ...

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Published in歯科放射線 Vol. 38; no. 3; p. 210
Main Authors 澁谷仁志, 西川慶一, 黒柳錦也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 30.09.1998
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ISSN0389-9705

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Summary:口内法X線撮影において, K殻吸収端フィルターを利用することは患者の被曝低減に有効である. しかし, 従来の写真法では写真コントラストの低下により検出能が低下するとされている. これに対してディジタルX線画像診断システムでは, 画像のコントラストを調整できることから, 検出能を低下させずに被曝を低減できるものと期待される. この点を明らかにするため, K殻吸収端フィルター使用下での口内法ディジタルX線画像のコントラストと検出能の変化について検討を行った. ディジタルX線画像診断システムにはCCD方式のCDRシステム(Schick Technologies)を使用した. 対象としたK殻吸収端フィルターは, NIOBI-X RADIATION REDUCTION FILTER(Nb:Rad. Red. Labs.), Dental X-ray filter kit(Gd:Eastman Kodak), KEY-filter(KEY:X-ray plus)の3種類で, X線装置に予め付加されているAl 1mmにそれらを追加して使用した. まず, 各フィルター使用時のアルミニウム半価層と実効エネルギー, 特性曲線, コントラストを調べた. コントラストはアルミ階段を用いて分析した. そして, アルミニウムテストオブジェクトにより微小信号検出能を視覚的に評価した. テストオブジェクトの厚さは5mm, 10mm, 15mmの3種類とした. その結果, 実効エネルギーはAlのみ, Nb, Gd, KEYの順に大きくなった. 特性曲線は, 実効エネルギーが高いほど感度および階調度が高くなる傾向がみられた, コントラストは, 同じ照射線量に対しては実効エネルギーが高いほど大きくなり, アルミが厚い部分での増加の割合が大きかった. 微小信号検出能は, KEYが最も良好な結果を示した. アルミの厚さ5mm, 10mmの場合にはどのフィルター間でも有意差は認められなかったが, 厚さ15mmのときには有意差が認められた.
ISSN:0389-9705