65分間の閉胸および開胸心マッサージにて神経学的後遺症を残さず救命しえた, 術中心停止の1例
破裂性腸骨動脈瘤に対する緊急手術中に, 心停止を来し, 65分間の閉胸ならびに開胸心マッサージにより自己心拍再開し, 術後も神経学的後遺症を残さず回復した症例を経験した. <症例>62歳, 男性, 過去にASOにて人工血管置換術(4回)を受け, follow中であった. 手術前日早朝より下腹痛あり, 手術当日午前中に当院受診. 腹部膨満著明, 腹壁は硬く, 自発痛および圧痛大であった. 血圧は低下していなかったが, 頻脈であった. 心電図上V_4,5,6 にてST低下あり. 検査では白血球増加, 腎機能低下および高K血症がみられた. <麻酔経過>観血的血圧モニタ下に麻酔...
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| Published in | 蘇生 Vol. 10; p. 42 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本蘇生学会
01.04.1992
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| ISSN | 0288-4348 |
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| Summary: | 破裂性腸骨動脈瘤に対する緊急手術中に, 心停止を来し, 65分間の閉胸ならびに開胸心マッサージにより自己心拍再開し, 術後も神経学的後遺症を残さず回復した症例を経験した. <症例>62歳, 男性, 過去にASOにて人工血管置換術(4回)を受け, follow中であった. 手術前日早朝より下腹痛あり, 手術当日午前中に当院受診. 腹部膨満著明, 腹壁は硬く, 自発痛および圧痛大であった. 血圧は低下していなかったが, 頻脈であった. 心電図上V_4,5,6 にてST低下あり. 検査では白血球増加, 腎機能低下および高K血症がみられた. <麻酔経過>観血的血圧モニタ下に麻酔導入, 挿管し, 麻酔維持はGOIとした. 手術開始直後までは血圧安定していた. 手術開始約20分後, 手術操作が腹部大動脈周囲に及ぶと, PVCが散発, すぐに二連発, 三連発となり, その後徐脈となり, VTからVfへ移行した. <蘇生>閉胸心マッサージ(CCCM)下にlidocaine, adrenaline, noradrenaline, CaCl_2 投与し, 300WSの除細動を7回行ったが, 心静止の状態となるため, 約40分後より開胸心マッサージ(OCCM)開始. OCCM開始5分後より自己心拍再開したが徐脈でありVfに移行するためOCCMは15分間施行. 自己心拍安定後は, cate-cholamine, diltiazem, lidocaineおよびbarbiturateを持続投与し循環動態は比較的安定していた. <術後管理>ICU入室後, 意識は2日目に回復. 呼吸, 循環ともに安定していた. <まとめ>本症例は閉胸心マッサージのみでは蘇生不能で, 開胸心マッサージに移行することが有効な蘇生手段となったと考え報告した. 手術室での蘇生は人手や器具もそろっているため, 閉胸心マッサージが無効の場合, 速やかに開胸心マッサージに移行することも有効である. |
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| ISSN: | 0288-4348 |