立位にて心電図所見が顕在化したBrugada症候群の1症例

症例は50歳の男性. 数分間の意識消失発作の後に自然回復し, 当科を受診した. 来院時の安静時心電図は正常で, 心臓超音波検査でも器質的心疾患は明らかではなかった. 運動負荷試験時に立位となったところ, V1, V2誘導にてJ点の上昇とST部分の上昇が出現した. J点とST部分の変化は運動負荷によって消失し, 負荷後再び顕在化した. 以後この心電図所見は持続的に認められ, V1, V2誘導のJ点とST部分の上昇は臥位に比べて立位で増強した. 体位変化に伴う心臓と胸部電極の相対的な位置関係やα受容体刺激も要因と考えられたが, 心電図所見が顕在化する機序は不明であった. Brugada症候群に特徴...

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Published in心臓 Vol. 34; no. 8; pp. 672 - 675
Main Authors 渡部裕, 相澤義房, 池主雅臣, 鷲塚隆, 杉浦広隆, 小村悟, 保坂幸男, 田辺靖貴, 古嶋博司, 阿部晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.08.2002
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ISSN0586-4488

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Summary:症例は50歳の男性. 数分間の意識消失発作の後に自然回復し, 当科を受診した. 来院時の安静時心電図は正常で, 心臓超音波検査でも器質的心疾患は明らかではなかった. 運動負荷試験時に立位となったところ, V1, V2誘導にてJ点の上昇とST部分の上昇が出現した. J点とST部分の変化は運動負荷によって消失し, 負荷後再び顕在化した. 以後この心電図所見は持続的に認められ, V1, V2誘導のJ点とST部分の上昇は臥位に比べて立位で増強した. 体位変化に伴う心臓と胸部電極の相対的な位置関係やα受容体刺激も要因と考えられたが, 心電図所見が顕在化する機序は不明であった. Brugada症候群に特徴的なJ点とST部分の上昇は同一症例においても一様でなく, 時に消失するため診断が困難なことがあるが, 本症例のように立位にて特徴的な心電図所見を呈することはまれで, 貴重な症例と思われた.
ISSN:0586-4488