ABO式血液型不適合妊娠における抗体価測定の臨床的意義

ABO型不適合による新生児溶血性疾患を予知する検査法として, 妊婦血清中の抗体価の測定が行われている. 我々は当院の妊産婦204例を対象として血液型, 不規則性抗体, 抗A, 抗B抗体価(DTT処理)を測定し, MESA gradeで表わした. その結果, O型妊婦とA型夫の組合せは45例(21.5%)あり, grade 4(重症障害値)1例, grade 3(軽症障害値)5例, grade 2が25例, grade 1が14例認められた. またB型夫の場合は19例(9%)でgrade 4が2例, grade 3は1例, grade 2が14例そしてgrade 1は2例であった. これらの不適...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 33; no. 4; p. 453
Main Authors 篠原紀美代, 渡邊博文, 細井英司, 斎藤史郎, 磯部淳一, 鎌田正晴, 苛原稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.07.1987
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ISSN0546-1448

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Summary:ABO型不適合による新生児溶血性疾患を予知する検査法として, 妊婦血清中の抗体価の測定が行われている. 我々は当院の妊産婦204例を対象として血液型, 不規則性抗体, 抗A, 抗B抗体価(DTT処理)を測定し, MESA gradeで表わした. その結果, O型妊婦とA型夫の組合せは45例(21.5%)あり, grade 4(重症障害値)1例, grade 3(軽症障害値)5例, grade 2が25例, grade 1が14例認められた. またB型夫の場合は19例(9%)でgrade 4が2例, grade 3は1例, grade 2が14例そしてgrade 1は2例であった. これらの不適合例のうち, 血清ビリルビン値15mg/dl以上の上昇により交換輸血を行ったもの2例であった. 不規則性抗体は, 抗E1例, Le^a 2例, P_1 8例, 抗H_1 1例の計12例に認められ, 全妊婦の6.3%であった. ABO型不適合の妊婦は血清中のIgG性の抗A, 抗B抗体価を測定しておくことにより, 新生児溶血性疾患の発症が推測可能である.
ISSN:0546-1448