エナメル上皮腫におけるHGFの発現

HGF(肝細胞増殖因子:Hepatocyte Growth Factor)は, 1983年にNakamuraらによって肝再生を行っているラット血清中から肝再生因子の実体として見出され1), 1989年に増殖因子としてラット血小板から初めて単離された2). その後HGFは主として線維芽細胞により産生され, HGF-receptorであるc-Metを介した上皮細胞の増殖活性3)を高めるばかりでなく, 運動促進作用4), 形態形成能5), 腫瘍細胞の増殖促進あるいは抑制作用6)など機能的に多様な生物活性を示すことが明らかにされている. 一方口腔領域でも, HGFが歯の発育形成に関与している可能性が示...

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Published in神奈川歯学 Vol. 35; no. 4; pp. 177 - 189
Main Author 今泉智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.12.2000
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ISSN0454-8302

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Summary:HGF(肝細胞増殖因子:Hepatocyte Growth Factor)は, 1983年にNakamuraらによって肝再生を行っているラット血清中から肝再生因子の実体として見出され1), 1989年に増殖因子としてラット血小板から初めて単離された2). その後HGFは主として線維芽細胞により産生され, HGF-receptorであるc-Metを介した上皮細胞の増殖活性3)を高めるばかりでなく, 運動促進作用4), 形態形成能5), 腫瘍細胞の増殖促進あるいは抑制作用6)など機能的に多様な生物活性を示すことが明らかにされている. 一方口腔領域でも, HGFが歯の発育形成に関与している可能性が示されている. 1996年Tabataらは, 組織培養系におけるマウス歯胚にoligodeoxynucleotide(ODN)を添加してHGFmRNAの翻訳を阻止する実験によって歯乳頭細胞より産生されるHGFが歯原性上皮に増殖因子として作用していることを報告した7).
ISSN:0454-8302