脳性麻痺児のコミュニケーション障害に対するAACのアプローチについて
「目的」脳性麻痺(以下CP)では, 運動障害による表出の障害や精神遅滞(以下MR)の合併によることばの獲得の困難さ等があり, コミュニケーション障害が生じる. そこで, Augmentative & Alternative Communication(以下AAC)の考え方を取り入れて幼児期のアプローチを試みたので紹介する. 「方法」当センターの肢体不自由児通園施設にて療育を行ったCP3症例に対し, 準備段階としてのコミュニケーション態度の形成から介入し, 1歳半程度の言語理解と認知能力の段階でAACを導入, 各専門職の個別対応と通園療育との連携によるアプローチを行った. 「結果」症例1...
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          | Published in | リハビリテーション医学 Vol. 37; no. 11; p. 863 | 
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| Main Authors | , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本リハビリテーション医学会
    
        18.11.2000
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| ISSN | 0034-351X | 
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| Summary: | 「目的」脳性麻痺(以下CP)では, 運動障害による表出の障害や精神遅滞(以下MR)の合併によることばの獲得の困難さ等があり, コミュニケーション障害が生じる. そこで, Augmentative & Alternative Communication(以下AAC)の考え方を取り入れて幼児期のアプローチを試みたので紹介する. 「方法」当センターの肢体不自由児通園施設にて療育を行ったCP3症例に対し, 準備段階としてのコミュニケーション態度の形成から介入し, 1歳半程度の言語理解と認知能力の段階でAACを導入, 各専門職の個別対応と通園療育との連携によるアプローチを行った. 「結果」症例1:知能レベルは軽度MR~境界. 音声表出は不明瞭で, 伝わらずに諦めることが多かったが, 他者への働きかけが増加した. 症例2:知能レベルは境界. 自発性に乏しかったが, コミュニケーション意欲が向上し音声表出が増加した. 症例3:知能レベルは中度MR. 音声表出困難. 要求手段が乏しく泣くことが多かったが, コミュニケーションや活動の意欲が向上した. 取り組みの途中だったAAC手段のフォローが就学後は不十分である. 「考察」音声表出困難なCPに対するAACアプローチは, コミュニケーション面の改善のみではなく, 活動意欲の向上, 発達の促進・社会生活の向上にもつながり, 幼児期から必要かつ重要なアプローチと考える. これには, 多職種(リハビリテーション医・OT・PT・保育士・臨床心理士)の連携による専門的かつ総合的視点に立った計画的なチームアプローチが必要で, リハ医の適切なマネジメントが重要である. また, 現状では就学後の連携が困難なため, まずは就学までを一区切りとしてゴールを設定すべきと考える. | 
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| ISSN: | 0034-351X |