1度房室ブロックを伴う洞性頻拍がdual chamber ICDの不適切作動の原因となった心サルコイドーシスの1例
抄録症例は持続性心室頻拍と完全房室ブロックを合併した心サルコイドーシスの女性. プレドニゾロンによる内服治療にて房室伝導は1度房室ブロックに回復した. しかし, 電気生理検査では自然発作波形を含む計3波形の持続性心室頻拍(VT)が誘発され, 心房心室リードシステムの除細動器を植え込んだ. 植え込み後, 洞性頻拍時に抗頻拍ぺ一シングが作動した. これは, 心拍周期が心室頻拍認識周期である440msec以下に短縮した時に, 1度房室ブロックを伴う1:1房室伝導のため, 心房興奮を心室頻拍の逆行性心房興奮として認識したためであった. Dual chamber ICDは上室性頻拍への不適切治療の回避に...
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Published in | 心臓 Vol. 35; no. 2; pp. 124 - 129 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
丸善
15.02.2003
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ISSN | 0586-4488 |
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Summary: | 抄録症例は持続性心室頻拍と完全房室ブロックを合併した心サルコイドーシスの女性. プレドニゾロンによる内服治療にて房室伝導は1度房室ブロックに回復した. しかし, 電気生理検査では自然発作波形を含む計3波形の持続性心室頻拍(VT)が誘発され, 心房心室リードシステムの除細動器を植え込んだ. 植え込み後, 洞性頻拍時に抗頻拍ぺ一シングが作動した. これは, 心拍周期が心室頻拍認識周期である440msec以下に短縮した時に, 1度房室ブロックを伴う1:1房室伝導のため, 心房興奮を心室頻拍の逆行性心房興奮として認識したためであった. Dual chamber ICDは上室性頻拍への不適切治療の回避にも有用であるが, 本症例のような特殊な状況下でのアルゴリズムには限界がある. (心臓35:124~129, 2003)植え込み型除細動器(ICD)は, 致死的心室性不整脈に対する治療法として有用であり, 患者の生命予後を改善させることが知られている1)2). しかし, ICDの不適切作動の報告も少なくなく, 欧米での大規模試験でも心室リードシステムのICD作動症例の約40%が不適切作動と報告されている3). 不適切作動の多くは上室性頻拍に対するもので, dual chamberICDはこのような不適切作動の回避にも優れている. Dual chamberICDは, 頻拍を認識する際に心房興奮と心室興奮を分析し, 洞性頻拍, 心房粗動, 細動, 房室結節回帰性頻拍を鑑別する. しかし, 今回, 洞性頻拍にもかかわらず, アルゴリズムの限界のため不適切作動に至った症例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 |