当院における自己血輸血の現状と合併症予防対策
(目的)輸血副作用予防のために自己血輸血が推進されている. 当院では, 輸血部管理のもとに貯血式自己血採血を平成9年9月より開始した. 臨床各科の要請が高まるにつれ採血に伴う合併症, 特に血管迷走神経反射(vaso-vagal reflex: VVR)発生の頻度も増加している. 患者のQOLからその予防対策が重要である. (対象および方法)平成9年9月より平成10年11月までの15ヶ月間に施行した貯血式自己血採血を行った入院及び外来患者を対象とした. 採血量は1回200または400mlを原則とし, 各科の要望により15日間に最大3回採血した. また, 2回以上採血する患者には鉄剤とrecomb...
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| Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 224 |
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| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本輸血学会
01.04.1999
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| ISSN | 0546-1448 |
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| Summary: | (目的)輸血副作用予防のために自己血輸血が推進されている. 当院では, 輸血部管理のもとに貯血式自己血採血を平成9年9月より開始した. 臨床各科の要請が高まるにつれ採血に伴う合併症, 特に血管迷走神経反射(vaso-vagal reflex: VVR)発生の頻度も増加している. 患者のQOLからその予防対策が重要である. (対象および方法)平成9年9月より平成10年11月までの15ヶ月間に施行した貯血式自己血採血を行った入院及び外来患者を対象とした. 採血量は1回200または400mlを原則とし, 各科の要望により15日間に最大3回採血した. また, 2回以上採血する患者には鉄剤とrecombinant human erythropoietin(rHuEPO)を投与した. 各診療科の採血回数・採血量からみた特徴とVVRの発生頻度より, をその予防対策を検討した. (結果)15ヶ月間の貯血式自己血採血患者は360人で, 採血回数609回, VVR発生頻度52人(8.5%)であった. 各診療科の自己血採血人数/採血回数/VVR発生頻度(%)はそれぞれ一般外科(第一, 第二外科)91/117/3, 循環器外科70/116/8(6.9%), 整形外科95/190/31(16.3%), 産婦人科64/121/6(5.0%), 泌尿器科28/50/1(2.0%), その他12/15/3(20.0%)であった. またVVRが採血直後から起き中止した例が2例(一般外科, 循環器外科各1例)あった. VVRの判定基準ではI・II度が大半であったが, III度が2例あった. VVR発生は恐怖感・緊張感の強い患者, 不眠や消化管検査後または絶食検査後による脱水, 体重50Kg以下で複数回採血する患者に起きやすかった. (結論)不安・不眠, 脱水, 体重50Kg以下複数回採血する患者では, VVR発生に注意し, 補液などの考慮をすべきである. |
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| ISSN: | 0546-1448 |