末梢血幹細胞の効率的動員法の確立

「目的」末梢血幹細胞移植(PBSCT)の普及, 進歩は目覚ましいものがあるが, PBSCの採取に最適な時期を予測し, 効率よく採取することは必ずしも容易ではない. 今回, G-CSF,IL-8を用いてPBSCを効率的に動員する方法をマウスを用いた実験系で検討した. 「方法及び結果」10~15週齢, 雄Balb/cマウスにG-CSF 5μg/body×4日間皮下投与, G-CSF最終投与の12時間後に, IL-830μg/body×1同腹腔内投与する群と0・1%BSA/PBSを投与する群に分け, 末梢血に動員される前駆細胞をCFU-C数にて検討し七さらに, 骨髄疲弊した実験モデルとして, 3.5...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 2; p. 274
Main Authors 下村泰三, 米村雄士, 藤井眞一郎, 福吉葉子, 中満三容子, 吉木景子, 山口一成, 宮家宏定, 河北誠, 満屋裕明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.2000
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448

Cover

More Information
Summary:「目的」末梢血幹細胞移植(PBSCT)の普及, 進歩は目覚ましいものがあるが, PBSCの採取に最適な時期を予測し, 効率よく採取することは必ずしも容易ではない. 今回, G-CSF,IL-8を用いてPBSCを効率的に動員する方法をマウスを用いた実験系で検討した. 「方法及び結果」10~15週齢, 雄Balb/cマウスにG-CSF 5μg/body×4日間皮下投与, G-CSF最終投与の12時間後に, IL-830μg/body×1同腹腔内投与する群と0・1%BSA/PBSを投与する群に分け, 末梢血に動員される前駆細胞をCFU-C数にて検討し七さらに, 骨髄疲弊した実験モデルとして, 3.5Gyの放射線照射したマウスを用いて, 0日目よりG-CSFを投与開始し, 1週間投与後, IL-8を単回投与した群と, IL-8を投与しない群に分け, 末梢白血球数, CFU-C数を指標に比較検討した. 正常マウス, 放射線照射したマウス両群とも, 白血球数はIL-8併用群の方が有意に少なかった. 正常マウスではIL-8投与群は, IL-8非投与群に比較し約2倍のCFU-C数が動員された. また放射線照射したマウスではIL-8投与により動員されたCFU-C数は正常マウスの約10分の1であったが, IL-8非投与群の約2倍であった. (結語)正常マウス, 放射線照射マウス両群においてIL-8併用により, G-CSF単独投与の約2倍のCFU-C数が動員された. 今後, 動員されたPBSCを致死量の放射線照射したマウスに移植し, CFU-S数, 生存率及び長期骨髄再構築能で比較検討する予定である.
ISSN:0546-1448