DNAによる移植骨髄細胞の生着, 拒絶, 再発の確認

(目的)我々は個体により遺伝子の繰り返し配列が異なる遺伝子あるいは制限酵素切断部位により多型性を示す7種の遺伝子をPCR法を用いて増幅し, 繰り返し配列の差あるいは制限酵素による切断部位の差の検出により骨髄移植の生着の確認を試みたので報告する. (対象と方法)当院輸血部と小児科に骨髄移植のために入院した患者を対象とした. 骨髄移植前に患者と提供者のヘパリン加末梢血よりDNAを抽出し, 患者と提供者間で既報の個体識別用に差異のあるgeneを確認した. 骨髄移植後1~2週目より, ヘパリン加末梢血および骨髄液よりDNAを抽出し, PCRを行い, 移植骨髄の生着, 拒絶あるいは再発した場合の白血病細...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 2; p. 322
Main Authors 郡谷哲男, 国分寺晃, 谷脇清助, 山口雅生, 伊藤眞紀, 阿南和昭, 三澤眞人, 大江与喜子, 甲斐俊朗, 原宏, 辻野吉昭, 神谷孝, 山本益嗣, 和田博義, 西中川篤, 山本義弘, 古山順一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1994
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ISSN0546-1448

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Summary:(目的)我々は個体により遺伝子の繰り返し配列が異なる遺伝子あるいは制限酵素切断部位により多型性を示す7種の遺伝子をPCR法を用いて増幅し, 繰り返し配列の差あるいは制限酵素による切断部位の差の検出により骨髄移植の生着の確認を試みたので報告する. (対象と方法)当院輸血部と小児科に骨髄移植のために入院した患者を対象とした. 骨髄移植前に患者と提供者のヘパリン加末梢血よりDNAを抽出し, 患者と提供者間で既報の個体識別用に差異のあるgeneを確認した. 骨髄移植後1~2週目より, ヘパリン加末梢血および骨髄液よりDNAを抽出し, PCRを行い, 移植骨髄の生着, 拒絶あるいは再発した場合の白血病細胞が患者か提供者のどちらに由来する細胞かを検索した. (結果)ALL(L1)17才, 女性では, 1および2週目の末梢血および骨髄のDNAには明らかに患者と提供者の細胞に由来するDNAを認め, 両者の細胞の混在が明らかであったが3週以降は末梢血・骨髄細胞患者由来のDNAを明らかに証明することはできなかった. ALL(L2)8才男子の第2再発時の症例では再発時のDNAは明らかに患者由来であった. (考察)従来, 移植骨髄細胞の生着の確認は患者と提供者細胞間の差異は性染色体, ABO式その他の血液型の差異で検討していた. しかし, 同性同型の場合は区別できない. 今回検討した症例では3週目で生着の確認ができた. また再発時でも早期に再発細胞の由来を確認でき, 腫瘍細胞の%が低くても確認可能であり, 長期保存ができる点でもDNAを用いた検査は有用である.
ISSN:0546-1448