拮抗筋の随意収縮が運動誘発電位に及ぼす影響
前腕において, 拮抗筋の随意収縮が, 標的筋(主動筋)の筋活動と経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位(MEP)に及ぼす影響を検討した. 対象は健常成人12名で, 開眼, 安静座位で前腕中間位の姿勢をとった. 左側の橈側手根伸筋(ECR)と橈側手根屈筋(FCR)より, 最適刺激部位を安静時閾値の1.2倍の強度で刺激して得られるMEPを背景筋電活動とともに表面電極で記録した. 条件は, 安静, 左ECR10%収縮, 左FCR10%収縮とし, MEPの頂点間振幅と背景筋電活動の最大頂点間振幅を計測した. 次に左FCRより正中神経刺激によるH波を同様の条件で記録し, H波の頂点間振幅と背景筋電活動の最大頂...
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| Published in | リハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; pp. 1004 - 1005 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.1999
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| ISSN | 0034-351X |
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| Summary: | 前腕において, 拮抗筋の随意収縮が, 標的筋(主動筋)の筋活動と経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位(MEP)に及ぼす影響を検討した. 対象は健常成人12名で, 開眼, 安静座位で前腕中間位の姿勢をとった. 左側の橈側手根伸筋(ECR)と橈側手根屈筋(FCR)より, 最適刺激部位を安静時閾値の1.2倍の強度で刺激して得られるMEPを背景筋電活動とともに表面電極で記録した. 条件は, 安静, 左ECR10%収縮, 左FCR10%収縮とし, MEPの頂点間振幅と背景筋電活動の最大頂点間振幅を計測した. 次に左FCRより正中神経刺激によるH波を同様の条件で記録し, H波の頂点間振幅と背景筋電活動の最大頂点間振幅を計測した. その結果, ECRとFCRのいずれにおいても, (1)標的筋収縮時と拮抗筋収縮時のMEPの振幅は安静時よりも大きく, 標的筋収縮時のMEPの振幅は拮抗筋筋収縮時のMEPの振幅よりも大きかった. (2)拮抗筋収縮時に標的筋には同時収縮が観察され, その最大頂点間振幅は, 標的筋10%収縮時よりも小さかった. (3)FCR収縮時のH波の振幅は安静時よりも大きく, ECR収縮時の振幅は安静時よりも小さかった. (4)ECR随意収縮時のFCRの背景筋活動は, H波記録時とMEP記録時との間で差がみられなかった. 以上より, 手関節の随意的な背屈あるいは掌屈動作において, 拮抗筋に対する皮質レベルの促通機序が働くと示唆された. |
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| ISSN: | 0034-351X |