半側空間無視を合併した交叉性失語症の1例
今回我々は, 被殻出血による左片麻痺で, 交叉性失語症および半側空間無視を合併し, リハビリテーション(以下, リハ)に難渋した症例を経験したので報告する. 症例は右利き53歳男性, 診断は右被殻出出血. 当院入院時左同名半盲, 左片麻痺, 混合性失語症と左半側空間無視, 注意障害, 口腔顔面失行, および構成障害を認めた. ADLは食事, 整容は自立していたが, 更衣動作などに関しては, 介助が必要であった. 本症例に対し, 我々は, 単純化した同一動作を身振り手振りを交え, 視覚的な注意を入れながら繰り返すことによって, 更衣は自立したものの, 歩行は屋外歩行が可能となったが, 左半側空間...
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| Published in | リハビリテーション医学 Vol. 35; no. 10; p. 707 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本リハビリテーション医学会
18.10.1998
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| ISSN | 0034-351X |
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| Summary: | 今回我々は, 被殻出血による左片麻痺で, 交叉性失語症および半側空間無視を合併し, リハビリテーション(以下, リハ)に難渋した症例を経験したので報告する. 症例は右利き53歳男性, 診断は右被殻出出血. 当院入院時左同名半盲, 左片麻痺, 混合性失語症と左半側空間無視, 注意障害, 口腔顔面失行, および構成障害を認めた. ADLは食事, 整容は自立していたが, 更衣動作などに関しては, 介助が必要であった. 本症例に対し, 我々は, 単純化した同一動作を身振り手振りを交え, 視覚的な注意を入れながら繰り返すことによって, 更衣は自立したものの, 歩行は屋外歩行が可能となったが, 左半側空間無視が残存したため, 監視を外すことはできなかった. また, 統計的に, 交叉性失語症には半側空間無視を伴うことが多く, 言語的な指示が理解できない分だけリハ訓練期間が長くなると考えられ, その程度は半側空間無視の程度により影響されると思われた. |
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| ISSN: | 0034-351X |