八巻論文に対するEditorial Comment
確実な止血,組織の接着・閉鎖を達成することは外科手術,とくに心大血管手術における最重要テーマである.縫合・結紮といった外科的手技の補助として使用される組織接着剤に要求される3要素は,効果の強さと確実性,操作性,そして安全性である1).つまり良好な止血や接着が得られ,使いやすく,生体にとって安全であるということである.この3要素のなかでもっとも軽視されやすいのは安全性,なかでも長期遠隔にわたる安全性である.なぜならば,外科医にとっては目の前の危機,つまり出血の制御が達成され,患者が元気に退院すれば,あとは自分の手術の責任範囲外と考えてしまうきらいがあるからである.これはDES(薬剤溶出性ステント...
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          | Published in | 心臓 Vol. 39; no. 7; pp. 645 - 646 | 
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| Main Author | |
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本心臓財団
    
        15.07.2007
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| ISSN | 0586-4488 | 
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| Summary: | 確実な止血,組織の接着・閉鎖を達成することは外科手術,とくに心大血管手術における最重要テーマである.縫合・結紮といった外科的手技の補助として使用される組織接着剤に要求される3要素は,効果の強さと確実性,操作性,そして安全性である1).つまり良好な止血や接着が得られ,使いやすく,生体にとって安全であるということである.この3要素のなかでもっとも軽視されやすいのは安全性,なかでも長期遠隔にわたる安全性である.なぜならば,外科医にとっては目の前の危機,つまり出血の制御が達成され,患者が元気に退院すれば,あとは自分の手術の責任範囲外と考えてしまうきらいがあるからである.これはDES(薬剤溶出性ステント)などのPCI(経皮的冠動脈インターベンション)で急性期治療が低侵襲で達成されればそれでよし,抗血小板剤も早期に中止可能と気軽に主張するインターベンショニストの姿勢とよく似ている.外科医に限らず医師は自分が急性期治療をした患者の長期予後に関しても,自分の責任範囲として真摯に向き合うべきなのである. | 
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| ISSN: | 0586-4488 |